【日本酒 テイスティング】桃川（ももかわ） にごり原酒
- 醸造酒:
- 日本酒
【基本データ】古き良き時代が蘇ってくるような、素朴で懐かしい味わい
・容量 ［ 720ml ］
・アルコール度数［ 20度 ］
・原産国 ［ 日本・青森県 ］
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1・・・・・・・・・2●・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・飲み頃の温度
冷凍 常温 ホット、熱燗
1・・・・・●・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・カクテルベースとして
向いていない(難しい) 普通 向いている
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5
0 使ってはいけない（もったいない）
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
●上記に当てはまらない
・カラー［ 玉子豆腐のような乳白色（上澄みだけなら輝くような琥珀色）。 ］
香り
赤果実系
・ザクロ ・リンゴ
柑橘系
・レモン ・オレンジ ・青リンゴ
トロピカルフルーツ系
・バナナ
スパイス系他
・生姜（ジンジャー） ・シナモン ・香草類（ハーブ）
ミネラル系他
・石灰 ・貝殻
シリアル（穀物類）系他
・米・もち米 ・味噌
花・草木・自然系他
・ミント ・藁（わら） ・アボカド ・ココナッツ ・鰹節・出汁
樽香・熟成由来の香り
・バニラ
乳製品系
・バター ・ヨーグルト・乳酸 ・チーズ
ペトロール（石油）・アルコール臭系系
・麹由来
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ガツンとくるアタック。 ］
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・●・・・・・・5
コメント［ 極甘口。甘酒の風味。 ］
辛み
弱い 普通 強い
1・・●・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ほぼ辛みは感じられない。 ］
酸味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1●・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 酸味も抑えられている。 ］
旨味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・●3・・・・・・・・・4
コメント［ 濃厚な米の旨み。 ］
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4●・・・・・・・・5
コメント［ このお酒に濃縮された米が詰め込まれているイメージ。 ］
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 濁り酒と原酒が合わさった、強烈なインパクト。 ］
味わいから感じるフレーバー
・フルーティ ・シリアル様
飲み口（風味・酒質）
・まろやかな ・自然な ・温かな ・素朴な ・メロー ・懐かしさを感じる
・とろみのある ・まったりとした ・とろけるような ・甘やかな ・暖かみのある
・豊潤な ・ふくよかな ・味わい深い ・ねっとりとした ・しっかりした
・厚みのある ・濃密な ・飲み応えのある ・コクのある ・濃厚な
・ボリュームのある ・はっきりとした ・力強い ・パワフルな ・強烈な
・インパクトのある ・独特の ・凝縮感のある ・個性的な
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 濁り酒としての完成度は高い。 ］
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4●・・・・・・・・5
コメント［ 度数２０度からくるしっかりした骨格。 ］
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・●・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ フィニッシュはそれほど長くはないが、アルコール感が残る。 ］
総評・コメント
今回ご紹介するのは「桃川（ももかわ） にごり原酒」です。
「桃川酒造株式会社」での酒造りは、「和醸良酒」という考えに基づいて行なわれています。
これは、酒造りの各工程において、それぞれの蔵人が連携し合い、職人全員で「良いお酒を造る」という意識の元に一丸となって酒造りに取り組むことを表している言葉です。
また、「桃川」のお酒のキャッチコピーとして知られているのが、「いい酒は朝が知っている」というフレーズです。
良いお酒を適量飲んで楽しめば、翌朝にはスッキリとした気分で目覚められるという意味です。
皆さんも、良いお酒は多少深酒をしたとしても、翌日二日酔いにはならなかったという経験をしたことがないでしょうか？
ただ厳密にこのことを考えれば、科学的根拠には乏しいというのが定説です。
そもそも「二日酔い」は、個々人のアルコール許容度合いによって自動的に決まります。
酔いを左右する因子としては、他にもお酒と同量のミネラルウオーターを飲んでいるか、適量のフードも同時に食べているか、仲間と一緒に楽しい時間を過ごせているか、等があります。
とは言え最終的にはアルコールの許容量によって二日酔いになるか否かは決まってくるものであり、お酒の品質自体が酔いを左右するというものではありません。
かつて終戦直後の日本では、日本酒に粗悪な混ぜ物をしていた時代があり、こういう特殊なケースを除けば、「いい酒は朝が知っている」とはならないはずです。
そうは言ってもこの「桃川」のキャッチコピーが胸に響くのは、酒飲みの心情を見事に捉えているからに他なりません。
「理性」ではなく「感性」で酒を飲んでいる人が多いことの証左なのかもしれませんね。
「桃川 にごり原酒」の基本データは以下の通りです。
種類：普通醸造酒／アルコール度数：２０度／原材料：米（国産）、米麴（国産米）、醸造アルコール、糖類・酸味料／
日本酒度：－（マイナス）２３／酸度：２．０／
「桃川 にごり原酒」は、その名の通りアルコール度数の加水調整をしていない「原酒」です。
従ってアルコール度数は２０度あり、日本酒としてはかなりのハイプルーフになります。
２００６年の酒税法の改正により、アルコール度数２２度以上のお酒は「日本酒」を名乗れなくなりました（詳細は「強い日本酒」のページをご参照ください）。
従ってこの「桃川 にごり原酒」は、日本酒としてのアルコール度数のほぼ上限にまで達していると言えます。
「桃川 にごり酒」のテイスティング（唎き酒）を以下に記します。
まず香りですが、濁り酒としては珍しく、かなりフルーツ系の立ち香が漂ってきます。
とは言っても所謂「吟醸酒」のような華やかなフレーバーではなく、あくまでも麹由来の匂いの中から僅かに立ち上ってくるという程度です。
この塩梅（あんばい）が「桃川 にごり原酒」の間口をぐっと広げてくれて、日本酒初心者でも「トライしてみよう」という気を起こさせてくれます。
味わいは、「－（マイナス）２３」の日本酒度が表しているように極々甘口です。
と言っても口に張り付くようなべたついた甘さではなく、甘酒のようなモロミの豊かな風味が自然と漂ってきて、想像以上に柔らかいニュアンスが広がります。
むしろモロミが下部に沈殿した後の上澄み部分（所謂「清酒」）だけを飲んだ時のほうが、より濃厚な味わいに感じられました。
「濁り酒」は、かつての日本人が昔から「どぶろく」に慣れ親しんだＤＮＡレベルの記憶からなのか、なぜか「鄙（ひな）びた」郷愁のような想いを呼び起こされます。
「桃川 にごり原酒」を飲んだときにも、どこか素朴で懐かしいイメージを感じたのはそのせいでしょうか。
「桃川 にごり原酒」単独でじっくり飲んでも美味しいのですが、ややしつこく感じるかもしれません。
料理と合わせるならば、濃醇な「桃川 にごり原酒」の飲み口に合わせてこってり系、例えばウナギの蒲焼きやビーフシチュー、焼き肉やタレの焼き鳥、マヨネーズを使った海鮮ソテー等との相性がいいと思います。
ちょっと目先を変えて、普段とは違う変わったお酒を飲んでみようと思い立つようなことがあれば、ちょうどピッタリの一本です！
