【日本酒 テイスティング】環日本海（かんにほんかい） 純米原酒 超辛口＋１５
【基本データ】香りと味わいで全く異なる様相を見せる、ユニークな日本酒
・容量 ［ 720 ml ］
・アルコール度数［ 18度 ］
・原産国 ［ 日本・島根県 ］
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1・・・・・・・・・2・・・・・●・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・飲み頃の温度
冷凍 常温 ホット、熱燗
1・・・・・・・・・2・・●・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・カクテルベースとして
向いていない(難しい) 普通 向いている
1・・・・・・・・・2・●・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
0 使ってはいけない（もったいない）
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0・・・●・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
上記に当てはまらない
・カラー［ 基本無色透明だが、若干黄色みが入っているか？ ］
香り
赤果実系
・ザクロ ・リンゴ
柑橘系
・レモン ・シトラス
スパイス系他
・白・黒こしょう ・香草類（ハーブ） ・ジュニパーベリー（松ヤニ）
・漢方薬 ・朝鮮人参
ミネラル系他
・鉄 ・鉱分
シリアル（穀物類）系他
・米 ・もち米 ・うるち米 ・コウリャン米
花・草木・自然系他
・ミント ・梅 ・枯れ草 ・藁（わら） ・キノコ類 ・落ち葉
・オリーブ ・木皮 ・木の根 ・樹脂 ・松の木 ・樹液
樽香・熟成由来の香り
・杉樽香 ・カラメル ・レーズン ・燻香 ・焦げ臭
乳製品系
・ヨーグルト・乳酸 ・チーズ
ペトロール（石油）・アルコール臭系系
・ガソリン ・灯油 ・革製品 ・ダンボール ・麹由来
コメント［ かなり強烈な麹由来のアルコール臭 ］
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・●・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ アルコール度数１８度の原酒の割りに当たりは柔らか。 ］
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・●・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 米の甘みは比較的しっかり。 ］
辛み
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・●・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 確かに辛口だが、＋１５の強烈な辛口はあまり感じない。 ］
酸味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・●・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 酸味ははっきり。 ］
塩味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・●・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 後味に塩みが感じられる。 ］
旨味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2●・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 旨みはまずまず。 ］
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・●・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 凝縮感よりもドライさのほうが強い。 ］
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・●・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 香りと味わいの二面性がくっきりと出ている。 ］
味わいから感じるフレーバー
・スパイシー ・ウッディ ・ミネラリィ ・シリアル様
飲み口（風味・酒質）
・キリッと ・切れ味ある ・シャープ ・ドライ ・刺激的な ・ピリッとした
・じんわり ・柔らかな ・独特の ・ユニークな ・複雑な
・風変わりな ・個性的な
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・●・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ユニークではあるが、香りと味わいの方向性が一致していない。 ］
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・・・・・・・・・2・・・・・●・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 度数１８度の原酒としてはかなりライト寄りのボディ。 ］
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・・・・・2・・・・・・●・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 短め。スッと消えていく。 ］
総評・コメント
今回ご紹介するのは「環日本海（かんにほんかい） 純米原酒 超辛口＋１５」です。
「環日本海」という一風変わった名前ですが、酒蔵のある島根県浜田市三隅町（みすみちょう）は、日本海沿岸に位置しており、正に「環日本海」を体現しているという訳です。
私たちが「環」という漢字から思いつくのは、多くの人が「環太平洋」だと思いますが、ご存じのように「環太平洋パートナーシップ協定（Trans-Pacific Partnership Agreement）＝ＴＰＰ」の文言の一部です。
「ＴＰＰ」は太平洋を起点とした経済連携協定ですが、これを日本海に置き換えた酒名であり、島根県の地理的な特徴を活かしたユニークなネーミングだと言えます。
ユニークさはボトルの色にも現れていて、「環日本海」の７２０ｍｌ（四合瓶）ボトルは赤色をしています。
酒蔵によるとこの赤色は「＋１５の辛口をイメージ」しているとのことですが、日本酒はおろか世界を見渡してみても、赤色瓶というのは（一部の焼酎やリキュールボトル等を除いて）ほとんど見かけることはありません。
この点でもユニークかつインパクトのあるブランドです。
「環日本海」を造っている「日本海酒造」の創業は１８８８年（明治２１年）、島根県浜田市三隅町湊浦に誕生しました。
島根県西部のこの地は、伝統芸能「石見神楽（いわみかぐら）」でも有名な石見地方に位置し、「水澄み（みすみ）の里」と言われるほどの清らかな水質を誇っています。
「日本海酒造」では、中国山脈の１つである矢畝（やうね）山系（弥畝山系）の伏流水を使用しており、海・山・川に囲まれた自然豊かで風光明媚なこの土地で酒造りに励んでいます。
また島根県は「日本酒発祥の地」としても知られていて（諸説あります）、日本最古の歴史書と言われる「古事記」にも素盞鳴尊（スサノオノミコト）がヤマタノオロチを退治した「ヤシオリノ酒」の記述がある等、お酒にまつわる神話も多数残されています（出雲神話とお酒の関係の詳細については、「日本酒」のページをご参照ください）。
「環日本海 純米原酒 超辛口＋１５」の基本データ（スペック）は以下の通りです。
種類：純米原酒／アルコール度数：１８度／原材料名：米（国産）、米麴（国産米）／日本酒度：＋１５／酸度：１．９／アミノ酸度：２．０／精米歩合：６５％／原料米：五百万石、ハナエチゼン／
また「環日本海 純米原酒 超辛口＋１５」のテイスティング（唎き酒）について、以下に記述します。
まず香りですが、最近の日本酒ではあまり見られない程の強い麹由来の香り（アルコール臭）が立ち上がってきます。
杉樽香と言ってもいいかもしれません。微かにフルーツ系の香りが漂う気もするのですが、強いアルコール臭の影に隠れてしまって、正確に嗅ぎ取る事が出来ませんでした。
ある意味で懐かしい、「昭和の日本酒」を彷彿とさせるフレーバーで、力強いインパクトがあります。
一方で味わいは、「＋１５」の日本酒度から想像される程の切れ上がりは感じられず、むしろお米由来の甘みや旨み等の要素が仄かに浮かび上がってきます。
「淡麗辛口」というよりは「豊潤辛口」といったニュアンスで、主として２０００年代以降に流行りだした日本酒の飲み口です。
つまり香りの面では「クラシックで古典的なアルコール臭（フレーバー）」、味わいの面では「辛口ではあるが、新世代を思わせる豊潤（濃醇）でコク（旨み）のあるドライ感」といった、二律背反的な要素を併せ持つユニークな日本酒となっています。
私自身は冷蔵庫で冷やしていただきましたが、メーカーでも「冷酒」を推奨しており、「燗上がり」するお酒でもないようです。
イメージ的には、魚介類系のややクセのある肴（イカの沖漬け）や刺し身、天ぷら等との相性がいいように感じました。
飲み手の好き嫌いが分かれる銘柄だと思いますが、「日本海酒造」には他にも多数のラインナップが用意されています。
是非他の銘柄とも飲み比べた上で、ご自身でこのお酒の可否を判断してみてください！
