【日本酒　テイスティング】残草蓬莱（ざるそうほうらい）　純米吟醸　Ｑｕｅｅｅｎ　槽場直詰生原酒

基本データ
色合い
香り
アタック・第一印象
味わい・テイスティング
総評・コメント

【基本データ】華やかで上品な甘みが小気味よい、チャーミングな日本酒

残草蓬莱　Ｑｕｅｅｎ (1)

・容量　　　　　［　720ml　］

・アルコール度数［　12度　］

・原産国　　　　［　日本・神奈川県　］

・発泡性

無　　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　　　強

0・・・・・・・・・1・・・・・・・●・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4

・入手難度

容易　　　　　　　　　　　　　　　やや困難　　　　　　　　　　　　　　極めて困難

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5

・飲み頃の温度

冷凍　　　　　　　　　　　　　　　　常温　　　　　　　　　　　　　　ホット、熱燗

1・・・・・・●・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5

・カクテルベースとして

向いていない(難しい)　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　向いている

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5

0　使ってはいけない（もったいない）

色合い

濃淡

無色透明　　　　　　　　　　　　　　琥珀色　　　　　　　　　　　　　　近黒色

0・・・●・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4

上記に当てはまらない

・カラー［　無色透明。若干黄色味を帯びている。　］

香り

赤果実系

　・イチゴ　・ラズベリー　・さくらんぼ　・リンゴ

黒果実系

　・カシス　・ブルーベリー　・プラム　・黒色ぶどう

柑橘系

　・レモン　・グレープフルーツ　・シトラス　・青リンゴ　・マスカット

トロピカルフルーツ系

　・パイナップル　・キウイ

その他果実

　・メロン　・桃　・洋ナシ　・スモモ　・フランボワーズ

スパイス系他

　・生姜（ジンジャー）　・シナモン　・紅茶　・ジャスミン茶　・香草類（ハーブ）

　・ハッカ

ミネラル系他

　・石灰　・貝殻

シリアル（穀物類）系他

　・米　・もち米

花・草木・自然系他

　・カエデ（メイプル）　・ハチミツ　・アボカド　・ココナッツ　・オリーブ

　・樹脂　・白樺（シラカバ）

樽香・熟成由来の香り

　・アーモンド　・バニラ　・ドライフルーツ　・クッキー　・ビスケット

乳製品系

　・ミルク　・ヨーグルト　・乳酸

ペトロール（石油）・アルコール臭系

　・ラムネ　・麹由来

アタック・第一印象

弱い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・●・・・・・・4・・・・・・・・・5

コメント［　アルコール度数以上にしっかりとしたアタック。　］

味わい・テイスティング

甘味

弱い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5

コメント［　濃厚な米の甘み、甘酒のよう。　］

辛み

弱い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

1・・・・・・・・・2・・・・・・●・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5

コメント［　フィニッシュで僅かに辛みを感じる。　］

酸味

なし　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・●・3・・・・・・・・・4

コメント［　豊かでたっぷり、リッチな酸味。　］

塩味

なし　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・●・・・・・・3・・・・・・・・・4

コメント［　かなりはっきりとした塩味が感じられる。　］

苦味・渋味

なし　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

0・・・・・・・・●1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4

コメント［　隠し味的なニュアンスの微かな渋み。　］

旨味

なし　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・●3・・・・・・・・・4

コメント［　米由来のコクのある旨み。　］

凝縮感・熟成感

弱い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・●4・・・・・・・・・5

コメント［　密度の濃い米の凝縮感。　］

個性

弱い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　強い

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4●・・・・・・・・5

コメント［　ニューウェーブ系の低アルコール日本酒としての個性。　］

味わいから感じるフレーバー

　・ミネラリィ　・フルーティ　・シリアル様

飲み口（風味・酒質）　

　・クリア　・クリーン　・すっきり　・スムーズ　・キリッと　・ピュア　・透明感

　・デリケート　・爽やか　・澄み切った　・清涼感　・さっぱりとした　・フレッシュ

　・生き生きとした　・溌剌とした　・若々しい　・瑞々しい　・香（かぐわ）しい

　・雑味のない　・マイルド　・しっとりとした　・優しい　・シルキー　・しなやかな

　・柔らかな　・滑らかな　・まろやかな　・自然な　・温かな　・メロー　・心地よい

　・和やかな　・澱（よど）みのない　・とろみのある　・ジューシーな　・口当たりの良い

　・キュートな　・チャーミングな　・とろけるような　・馥郁（ふくいく）とした　

　・甘やかな　・暖かみのある　・上品な　・魅力的な　・豊かな　・芳醇な　・豊潤な

　・ふくよかな　・味わい深い　・リッチな　・飲み応えのある　・コクのある　・濃厚な

　・ボリュームのある　・凝縮感のある

バランス

平凡　　　　　　　　　　　　　　　　　一般的　　　　　　　　　　　　　　　　　良好

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4●・・・・・・・・5

コメント［　秀逸。かなり高い次元でバランスが取れている。　］

ボディ・骨格

ライト　　　　　　　　　　　　　　ミディアム　　　　　　　　　　　フル・ヘビー

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・●・・・・4・・・・・・・・・5　

コメント［　度数のわりにはしっかりしたミディアムボディ。　］

フィニッシュ

短い　　　　　　　　　　　　　　　　普通　　　　　　　　　　　　　　　　長い

1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・●・・・・・4・・・・・・・・・5

コメント［　長くはないが、心地よいきれ上がり。　］

総評・コメント

今回ご紹介するのは「残草蓬莱（ざるそうほうらい）　純米吟醸　Ｑｕｅｅｅｎ　槽場直詰生原酒Ｒ３ＢＹ」です。

「残草蓬莱」を造っている「大矢孝酒造」の創業は１８３０年（文政１３年）、神奈川県北部の山間部に位置する「愛甲郡愛川町」で産声を上げました。この地の古名が「残草（ざるそう）」であったことから、この一風変わった銘柄が命名されました。

周囲を山々に囲まれた愛川町は、冬の冷え込みは県内でも一番という日本酒造りに適した環境であり、「大矢孝酒造」はこの地で１９０年余り酒造りに取り組んできました。

更に丹沢水系の豊富な伏流水を仕込み水として使用しており、中硬水であるにもかかわらず口に含むと非常に柔らかな水質は、「残草蓬莱」の特長を決定付けています。

この「残草蓬莱　Ｑｕｅｅｅｎ」にはとても豊富な情報が込められていて、それらを１つずつ下記に読み解いていきたいと思います。

まず「Ｑｕｅｅｅｎ」の酒名ですが、アルコール度数１２度、つまりトランプの１２になぞらえて「Ｑｕｅｅｎ」と名付けられました。

ではなぜ「ｅ」のアルファベットが３つ並んでいるのかということですが、これは誤字や誤植ではなく、実際にラベルにも「Ｑｕｅｅｅｎ」と表記されています。

これは「ｅ＝いー」お酒だという意味が込められていて、「ｅ」のアルファベットを一文字追加しているそうです。

更にラベルの裏面には、「注目度１２７％」の奇抜な表示が見られます。酒蔵の遊び心が感じられますが、それだけ品質に自信があるという証左とも取れますね。

また「槽場直詰生原酒　Ｒ３ＢＹ」にも日本酒造りにおける幾多の情報が盛り込まれています。

まず「槽場直詰」ですが、アルコール発酵が完了した醪（もろみ）を絞り、清酒と酒粕に分ける作業を「上槽（じょうそう）」と呼びますが、この作業を終えた「槽（ふね）」から直接お酒を瓶詰めしたことを意味します。

また「生原酒」については、殺菌処理を一切施していない（生酒）、かつ加水処理をせず度数調整もしていない（原酒）ことを示しています。

更に「Ｒ３ＢＹ」は「Brewery Year」を意味し、このボトルの場合、「令和（Ｒ）３年に瓶詰めされたお酒」だということを指しています。（日本酒造りに関する詳細については「日本酒の作り方」のページをご参照ください。）

上記の「１２％の原酒」について、いぶかしく思われる向きもあるかと思いますが、こちらについても下記に触れます。

もともと原酒は、絞りたてのアルコール度数が一般的に高め（１６度～１８度）なこともあり、これを加水して薄めることで飲みやすくしたものです。ところがこの「残草蓬莱　Ｑｕｅｅｅｎ」の場合、１２％という低アルコール度数の原酒であり、これは原酒を更に加水することでアルコール度数を下げると言うほど単純な話ではありません。

一般的に低アルコール度数の原酒（低アル原酒）の造り方には２通りあり、１つは発酵力の弱いワイン酵母を使用する方法です。

もう１つはアルコール度数が１５度を超えたあたりから、「追い水」をして１２度～１３度の原酒を造るやり方で、現在はこちらの手法が主流になっています。

「水で薄めることに変わりはないのでは？」と思われるかもしれませんが、醪の段階で加水をすることで日本酒の特徴である「並行複発酵」※の利点を活かし、甘みや酸味のバランスの調整が可能になります（※「並行複発酵」の詳細については、「日本酒の造り方」のページをご参照ください）。

「残草蓬莱　Ｑｕｅｅｅｎ」でもこの後者の手法を取り入れており、更に麹の種類や仕込みの方法等に工夫を凝らして独自の味わいに仕立てています。

「残草蓬莱　Ｑｕｅｅｅｎ」の基本データ（スペック）ですは、以下の通りです。

種類：純米吟醸／アルコール度数：１２度／精米歩合：６０％／日本酒度：－６．０／酸度：２．３／

アミノ酸度：未公開／使用酵母：未公開／原料米：麹米（山田錦）、掛米（出羽燦々）／タイプ：槽場直詰生原酒／

「残草蓬莱　Ｑｕｅｅｅｎ」のテイスティング（唎き酒）ですが、以下に記述します。

まず香りですが、純米吟醸酒らしい華やかでフルーティな香りが鼻腔をくすぐります。

イチゴ、リンゴ、フランボワーズ、パイナップル、ラズベリー、ブルーベリー等、かなり様々なフルーツの香りが次々と現れてきます。

ただ全体的にはやや香りは控え目な印象です。

味わいについて最初に感じるのは、「槽場直詰生原酒」からくる微発泡の穏やかで心地よいガス感です。