スパークリング・ワイン(発泡性ワイン)
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概要
発酵中に発生する炭酸ガスを瓶内に閉じ込め、発泡性(3気圧~6気圧)を持たせたワインです。
代表的なスパークリング・ワインと言えば、フランスのシャンパーニュ地方で作られる「シャンパン」ですが、シャンパンを名乗るには厳しい規制があり、他地方で作られるスパークリング・ワインはシャンパンとは呼べません。
スパークリング・ワインの主な製造方式
・トラディショナル方式
一次発酵終了後、ブレンドされたスティルワインを瓶に詰めて、糖分と酵母を加えて瓶内で二次発酵を起こさせるものです。
最も手間とコストがかかることから、最高級のスパークリングワインの製造に用いられます。
シャンパンもこのメソッドで作られることから「シャンパン方式(メトード・シャンプノワーズ)」とも呼ばれます。
・シャルマー方式
スティルワインを大きなタンクに密閉し、その中で二次発酵を起こさせるものです。
短期間で大量に生産できるため、コストを押さえたい時などに広く用いられます。
・トランスファー方式
瓶内で二次発酵をさせて、炭酸ガスを含んだ状態のワインを、圧力のかかった状態のタンクに移し替えて、冷却や濾過をした後に再度瓶詰めするものです。
トラディショナル方式の簡略版と言われています。上記以外にも「メトード・リュラル」「炭酸ガス注入方式」などの手法があります。
スパークリングワインの主な造り方
①除梗(じょこう)・破砕、②圧搾、③デブルバージュ、④アルコール発酵までの工程は、白ワインと同様です。
詳細は白ワインの項目をご参照ください。以下はそれぞれの製法の違いをみていきます。
1.トラディショナル方式(シャンパン方式)
アルコール発酵終了後、ワインに糖分と酵母をさらに加えて、瓶の中で二次発酵をさせます。
その際に生じた炭酸ガスを、瓶内に閉じ込める方法で、下記に説明する「シャルマー方式」「トランスファー方式」も基本的に同様の方法をとります。(シャルマー方式はタンク内二次発酵)
⑤熟成・ルミアージュ(動瓶)
トラディショナル方式で行なわれる瓶内二次発酵は、約2カ月間をかけて、ゆっくりと発酵を続けます。
二次発酵を終えた酵母は、発酵後、オリとなって底に沈んでいきます。
このオリ取り除くために、毎日少しずつ瓶を回しながら徐々に垂直に倒立させていって、最後に瓶の口が下になるようにもっていき、オリを瓶の口付近に集めます。
この作業を「ルミアージュ(動瓶)」と呼びます。
この「ルミアージュ」によりオリが瓶の口付近にまで溜まるまで、数ヶ月もの日数を要すると言われています。
⑥デゴルジュマン(オリ抜き)
「ルミアージュ」により瓶の口付近に集まったオリに対し、瓶の口部分のみをマイナス20度前後に冷やしてオリを凍結させ、栓を外してこのオリを取り除きます。
この一連の作業を「デゴルジュマン(滓抜き)」と呼びます。
⑦ドザージュ(補糖、糖分添加)
上記のデゴルジュマンによりオリは取り除かれる訳ですが、そのオリの分量だけワインは目減りするということにもなります。
この目減り分を、糖分の入ったワイン(リキュール)で補充することを「ドザージュ(補糖)」と呼びます。
この糖分補充にどんなリキュールを使うのかは、各ワイナリーによって様々で、多くの場合(特にシャンパーニュの場合)は門外不出となっています。
また、ここで使うリキュールの糖分の量によって、このスパークリングワインの甘口辛口が決まってくると言う、大事な作業でもあります。
この「ドザージュ」の工程でもって、ほぼスパークリングワインの醸造工程が終了することから、このリキュールは「門出のリキュール」とも呼ばれます。
最近では、敢えてこのリキュール添加を行なわないスパークリングワインも出てきていて、これらは「ノン・ドザージュ」のスパークリングワインと呼ばれています。
上記のように手間ひまもかかり、最もコストもかかることから、最高級のスパークリングワイン造りで採用される手法です。
代表的なところでは、フランスのシャンパン(シャンパーニュ)、スペインのカヴァ、イタリアの「フランチャコルタ」などがこの手法で作られています。
別名、「シャンパーニュ製法」とも呼ばれます。
2.トランスファー方式
アルコール発酵終了後、ワインに糖分と酵母をさらに加えて、瓶の中で二次発酵をさせます。その際に生じた炭酸ガスを、瓶内に閉じ込める方法で、ここまでの工程では「トラディショナル方式」と差異はありません。
⑤熟成・タンクに移し替え
「トラディショナル方式」と同様、瓶の中でほぼすべての二次発酵が終わった段階で、加圧されたタンクにワインを移し替えます。
加圧された環境下のタンクにワインを入れるのは、泡が一定に保たれる(炭酸ガスがワインから逃げない)からです。
⑥冷却・濾過
この方式では、瓶内で二次発酵が終わったワインを、オリと一緒に丸ごとタンク内にすべてのボトルの中身を一緒にしていまいます。
そのため、ボトル毎の個性がなくなり、品質が均一に保たれるというメリットがあります。
その後、タンクを冷却した上でフィルターにかけて滓引き(濾過)を行ないます。
つまり、「トラディショナル方式」で行われるオリを抜くための作業、「ルミアージュ」「デゴルジュマン」などの手間を省いたやり方がこの「トランスファー方式」で、「トラディショナル方式」の簡易版と言われるのはこのためです。
⑦瓶詰め
最終的に味わいの調整(ドザージュ)をした上で、再度ボトルに入れ直されて(瓶詰め)、出荷されます。
この方式で作られるスパークリングワインとして有名なものは、ドイツで生産されている「ゼクト」などがあります。
3.シャルマー方式
アルコール発酵終了後、ワインに糖分と酵母をさらに加えて、瓶の中で二次発酵をさせる方式が上述してきた「トラディショナル方式」「トランスファー方式」ですが、こちらの「シャルマー方式」は、この二次発酵を大きな密閉耐圧タンク内で行います。
⑤タンク内二次発酵
アルコール発酵終了後、ワインをタンクに移し替え、これに糖分と酵母をさらに加えて、密閉したタンクの中で二次発酵させます。
この方式のメリットは、短期間で大量のワインを生産することが可能であること、ワインの品質のばらつきを抑えることが比較的容易であることなどが挙げられます。
また、トラディショナル方式などと比べると、大量生産が可能であることから、コスト面でもメリットがあると言われます。
また、シャルマー方式では作られたスパークリングワインは、製造過程でワインを空気に触れさせずに醸造させることが可能なため、仕上ったワインはぶどうのアロマを感じさせる、フレッシュでフルーティなものが多いと言われます。
⑥瓶詰め
最終的に味わいの調整(ドザージュ)をした上で、再度ボトルに入れ直されて(瓶詰め)、出荷されます。
この方式で作られるスパークリングワインとして有名なものは、イタリアで生産されている「スプマンテ」などがあります。
ちなみにこの方式名になっている「シャルマー」ですが、この製法を考えたフランス人のシャルマーさんに由来しているというのが定説です。
ただ、イタリア人のほうが先にこの製法を考えた、という説もあり、正確なところははっきりしていません。
4.メトード・リュラル(リュラル方式)
これまでみてきた3方式は、アルコール発酵終了後、ワインに糖分と酵母をさらに加えて、瓶あるいはタンクの中で二次発酵をさせる製法でした。
これに対し、この「リュラル方式」は、一次発酵の途中に瓶詰めをして、後半の発酵をボトルの中ですませてしまう製法です。
④アルコール発酵(一次発酵)
上述のように「リュラル方式」では、アルコール発酵(一次発酵)の途中でワインを瓶に詰めます。
アルコール発酵が終わりきる前に、タンクからワインを抜いて、そのまま瓶に詰めるということですね。
⑤瓶内二次発酵
瓶の中で後半の発酵、すなわち二次発酵(これを二次発酵と呼んでいいのかどうかという話はありますが・・・)を行います。
まだワインに糖分が残っている状態でワインを引き抜き、残りの発酵を瓶の中で実施する、ということですね。
この製法を可能にするためには、ぶどうに糖分が豊富に含まれていて、酵母による発酵が長い期間続くこと前例条件がとなります。
したがって、この製法がとられる多くの地域は、比較的温暖な地域で収穫されるぶどうを使用しています。
また、他の方式との差異として、糖分の補充を行なわないため、アルコール度数は低めになります。
逆に、ぶどう本来の糖分のみで発酵を行って炭酸ガスを発生させるため、仕上ったワインはアロマが豊かなものになります。
ちなみにこの「リュラル方式(メトード・リュラル)」ですが、日本語では「田舎方式」「田舎製法」と呼ばれています。
この方式で作られるスパークリングワインとして有名なものは、南フランスで生産されている「ガイヤック」「ブランケット」などがあります。
●スパークリング日本酒
実はこの製法、スパークリング日本酒(発泡性日本酒)においても使われる手法で、良質なスパークリング日本酒が数多くこの手法により生産されています。(もちろん、「瓶内二次発酵製法」でつくられるものもあります。)
詳細は日本酒のページをご参照ください。
5.炭酸ガス注入方式(カーボネーション方式)
文字通り、できあがったスティルワインに、炭酸ガスを注入してスパークリングワインに仕立てる製法です。
他の手法に比べると非常に簡単に安価でできるため、大量消費用のスパークリングワインの生産方法として盛んに用いられています。
乱暴な言い方をすれば、コーラやソーダなどと同じような製法ですね。
安かろう悪かろうのイメージが強いこの製法ですが、メリットとしては、品質管理が容易であること、またスティルワインの個性を活かしたスパクリングワインを作りやすいことなどが挙げられます。
スパークリングワイン向きの品質を持ったスティルワインを原酒とするならば、この製法によっても高品質なスパークリングワインの生産は可能です。
この方式で作られるスパークリングワインとして有名なものは、ドイツで生産されている「パールヴァイン」や「セッコ」※などがあります。
※「パールヴァイン」「セッコ」については、後述するドイツのスパークリングワインの項目をご参照ください。
世界の主なスパークリング・ワイン
・シャンパン(シャンパーニュ)フランス
シャンパンは、パリの北東約170㎞に広がるシャンパーニュ地方で、伝統的製法に則り作られるスパークリングワインにのみ許される呼称(原産地統制呼称法=AOC法)です。
この地方以外で作られる、あるいはシャンパン製法以外で作られるフランスのスパークリングワインは、単に「ヴァン・ムスー(泡のワイン)」と呼ばれます。
スパークリングワインの最高峰といっても過言ではなく、まさに「煌めきのワイン」と呼ぶに相応しいですね。
●シャンパンを名乗る条件について
細かい製法や品種、地域などを説明していくとキリがないのですが、簡単にまとめると以下のような条件です。
・フランス北東部、シャンパーニュ地方で生産されていること
・特定の地域、品種のぶどうのみを使用して作られていること
・シャンパン製法(トラディショナル製法)で造られていること
・アルコール度数11%以上であること
・熟成期間が15ヶ月以上であること
・ロゼ・ド・リセイ
シャンパーニュ地方では、その生産量の9割が発泡性ワインで占められています。
しかしながら、わずかな量ではありますが、スティルワインも作られていて、その1つがこちらの「ロゼ・ド・リセイ」です。
名前の通り、シャンパーニュ地方南部で造られているロゼワインで、ピノ・ノワール100%で造られています。
●シャンパンの製法について
シャンパンの製法については、「トラディショナル方式(シャンパン方式)」で作られることが定められています。
詳細の製法については、上述のスパークリングワインの製法の項目をご参照ください。
・アッサンブラージュ
(この場所で説明するのが相応しいかどうかと言う疑問はありますが・・・)異なる品種や異なる畑のワインをブレンドすることを「アッサンブラージュ」と呼びます。
これにより天候によるぶどうの出来不出来や、味わいのバランスをとることが可能になります。
シャンパーニュやボルドー地方で一般的な手法で、フランス語の意味は「組み合わせる」ということです。
・なぜ黒ぶどうを使っても赤くならないのか?
下記に説明しているように、シャンパンのぶどう品種として認められている7種のぶどう品種のうち、ピノ・ノワールとピノ・ムニエとシャルドネの3種類でほぼ100%のシャンパンが造られています。
このうちピノ・ノワールとピノ・ムニエは黒色系のぶどう品種にあたるのですが、できあがったシャンパンの色は、ほぼすべて白に近い色合いです。
ではなぜ赤ワインのように仕上がりが赤くならないのか、ということですが、赤色のもととなる果皮の部分(アントシアニン)が滲み出てこないよう、丁寧に優しく果汁を搾っているためです。
これは、黒色系のぶどうを使った白ワインが赤くならない理由と同様ですね。
●シャンパンのぶどう品種について
シャンパンに使われるぶどう品種は、黒色系のピノ・ノワールとピノ・ムニエ、白色系のシャルドネの3種類でほぼ100%を占めています。
シャンパンを作る際に使用が許されているぶどう品種は全部で7種類ですが、上記の3種類以外のぶどう品種は、全栽培面積の0.3%にも満たない状況です。(2010年のAOC法の改正により以下の7種類が指定品種となりました。)
また「ピノ・ノワール(ムニエ)」は、どちらかというとピノ・ノワールとシャルドネの補完的な使われ方をすることが多く、「ムニエ」を前面に押し出したシャンパン造りというのはあまりなされてきませんでした。
しかしながら近年は、敢えて「100%ムニエ」にこだわったシャンパンを造る作り手もでてきて、意欲的なシャンパンが楽しめるようになりました。(これは下記で述べている「ブラン・ド・ノワール」になりますね。)
※最新の研究によると、「ピノ・ノワール」系のぶどう品種だと思われていた
「ピノ・ムニエ」ですが、実は別の系統の品種であることが判明したそうです。
ですので現在では、ソムリエ教本などでも、「ピノ」を省いて単に「ムニエ」とだけ表記しているそうです。
また、黒ぶどうのみで作られたシャンパンを「ブラン・ド・ノワール(黒ぶどうだけを使った白いシャンパンという意味)」、白ぶどう(シャルドネ)のみで作られたシャンパンを「ブラン・ド・ブラン」と呼んでいます。
ちなみに、残り4種類のぶどう品種は以下の通りです。
・アルバンヌ
・プティ・メリエ
・ピノ・グリ(フロマントー、アンフュメ)
・ピノ・ブラン
これらのぶどう品種は、古くからシャンパーニュ地方で栽培されていた品種です。(「古代品種」と呼ばれることもあります)
シャンパン造りに使用することは許されていますが、収穫量が少なかったり、病気に弱いなどの理由から、次第に使われなくなっていったと言われています。
これらのマイナー(失礼な言い方ですが)なぶどう品種ですが、一部の栽培農家で復活の動きもあり、今後の動向が注目されます。
・ムニエ・フュメ
上記の7種類のぶどう品種に加えて、この「ムニエ・フュメ」というぶどうを加えてシャンパン造りに許されているぶどう品種は8種類だとしている定義もあります。
近年、この「ムニエ・フュメ」は「ピノ・ムニエ」と同じ品種だということが分かり、通常は7種類とする区分が一般的です。
生産者によっては、敢えて「ムニエ・フュメ」という名前で販売しているところもあるようです。
●シャンパンの主なぶどう生産地について
シャンパンの主なぶどう生産地は3つあり、「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」「コート・デ・ブラン」「モンターニュ・ド・ランス」がそうです。
「ヴァレ・ド・ラ・マルヌ」
マルヌ川下流域、石灰質かつ粘土質な土壌が広がり、霜の影響を受けやすい土地でもあるため、丈夫なぶどう品種である「ピノ・ムニエ」が主に栽培されています。
「モンターニュ・ド・ランス」
生産量の多い地域で、日照量が豊富なことからワインに厚みがあり、フルボディタイプのぶどう品種が生産されています。
主としてピノノワール品種のぶどうが造られています。
「コート・デ・ブラン」
エペルネ市南部に広がるエリアが「コート・デ・ブラン」で、「白い丘」という意味です。
シャンパーニュ地方に特徴的な石灰質の土壌が広がっていて、繊細で優美なシャンパーニュを産しています。
シャルドネの栽培が圧倒的に多く、高級シャンパンが多く造られています。
●メニル産ぶどう
「コート・デ・ブラン」地区の中でも「メニル産」(メニル・シュール・オジェ村)で栽培されるシャルドネは、この村の畑全てが100%特級格付けに認定されています。
その特筆すべき高品質は、「ブラン・ド・ブランの聖地」として全世界に知られています。
●レコルタン・マニュピュラン(RM)について
シャンパーニュ地方で、ぶどうの栽培からワイン醸造・販売までを一貫して行うワイナリーを「レコルタン・マニュピュラン(RM)」と呼んでいます。
RMは一般的に規模が小さく、特定(自分)の畑から個性的なシャンパンを作り出すことで、今注目を集めています。シャンパーニュ地方には、こうした小規模生産者が5000軒以上あるそうです。
ボルドー地方の「シャトー」※、ブルゴーニュ地方の「ドメーヌ」※※と同じようなものですね。
一方、こうしたぶどう農家からぶどうを買い上げてワインを造るワイナリーを「ネゴシアン・マニュピュラン(NM)」と呼び、こちらは大規模生産で世界的にも有名なブランドメゾンが多く、品質も安定しています。
※「シャトー」、※※「ドメーヌ」については別途ご説明します。
●メゾンについて
シャンパンワイナリーのことを「メゾン」と呼び表すことがあります。
これは、スランス語で「家」を意味していて、もともとシャンパンは、通常のスティル・ワインに比べると製法が複雑であったため、家族経営が多かったことから、シャンパーニ地方のワイナリーを「メゾン」と呼ぶようになったと言われています。
上記にも触れていますが、ボルドー地方の「シャトー」、ブルゴーニュ地方の「ドメーヌ」と同じ考え方ですね。
●シャンパンの甘辛度について
シャンパンは、その味わい(糖分)により、以下のように7段階で表示されます。
(「ドザージュ」※で添加されるリキュールの糖分、1リットルあたりに含まれる糖分のグラム数により下記のように区分されます。)
※「ドザージュ」については、スパークリングワインの主な製法の項目をご参照ください。
ブリュット・ナチュール・・・極辛口、リキュール補填なし「ノン・ドザージュ」「ドザージュ・ゼロ」ともいいます。3g/L以下
エクストラ・ブリュット・・・極辛口0~6g/L以下
ブリュット・・・極辛口、エクストラよりリキュール補填が多い12g/L以下
エクストラ・ドライ・・・辛口12~17g/L以下
セック・・・中辛口17~32g/L以下
ドミ・セック・・・中甘口32~50g/L以下
デュー・・・甘口50g/L以上
●ロゼ・シャンパンについて
別名「ピンク・シャンパン」とも呼ばれています。
みなさんがリカーショップなどに行った際、「なんでロゼのシャンパンはこんなに高いのだろう?」と疑問に思った方もいらっしゃるのではないかと思います。
そもそもの話になりますが、シャンパン自体が1つのブランド化していて、通常のスパークリングワインと比べてもかなり高価です。
もちろん、味わいも素晴らしいものも多いですが、現在では高品質のスパークリングワインも数多く販売されていて、シャンパンに匹敵するようなものもあります。
ではなぜシャンパンがこれほど高価なのかということですが、1つは先に挙げたようなブランディング戦略、敢えて高い値段で売ることによってブランド価値を高め、さらにこれを維持していくというブランド戦略です。
もう一つは、シャンパン造りにかかる手間ひまですね。シャンパンを造る製法は、「トラディショナル方式」に限られており、これはスパークリングワインを生産する方法としては最も複雑で手間のかかる製法です。
※「トラディショナル方式」の詳細については、「スパークリングワインの主な製法」の項目をご参照ください。
一言で言えば「工賃」ということですね。
それでは、そのシャンパンよりも更に高い「ロゼ・シャンパン」の「なぜ?」ですが、これも一言で言ってしまえば「工賃」ですね。
シャンパンは「トラディショナル方式」で造ることしか認められていませんが、ロゼ・シャンパンはこれに加えてロゼワインの手法をとらなければなりません。
特にシャンパーニュ地方で作られるロゼワインは、「セニエ法」と言われる手法をとっているワイナリーが多く、高い技術が必要な上にワインの完成までに長期間を要します。
※「セニエ法」の詳細については、「ロゼワインの主な製法」の項目をご参照ください。
しかしながら、この「セニエ法」で造られたロゼワインは、香りが豊かで味わいもコク深く、素晴らしい品質のワインに仕上がると言われています。
ロゼ・シャンパンが高い理由は、その手間ひまの複雑さと高い品質の双方の要素があると言うことですね。
●ヴァン・ムスーのガス圧による呼称の違いについて
ムスー・・・ガス圧5~6気圧程度のもの
クレマン・・・ガス圧3~3.5気圧程度のもの
ペティヤン・・・ガス圧2.5気圧以下のもの。
スティルワインに分類されることが多いです。
※「ペティヤン」は、ぶどう果汁をアルコール発酵(一次発酵)させている
最中に、発酵の途中で微発泡性を持たせたまま瓶詰めしたワインなので、製法上の「スティルワイン」に分類されることが多いです。
●ヴィンテージについて
シャンパンのラベル※の部分に、ぶどうの収穫年が入ったボトルとそうでないボトルがあることに気づいている方も多いのではないかと思います。
ぶどう収穫年が入っているシャンパンを「ヴィンテージ・シャンパン」、入っていないものを「ノン・ヴィンテージ・シャンパン(NV)」と呼んでいます。
一般的に後者のシャンパンを呼ぶときには、略して「ノンビン」と呼ぶことも多いですね。
※フランスワインでは、ラベルのことを「エチケット」と呼んでいます。
シャンパンの場合、比率的にはNVシャンパンが8割を占めていて、ほとんどのシャンパンは収穫年の異なるぶどうをブレンド(アッサンブラージュ)して造られているということですね。
このように、味わいの調整のために加えられる他のヴィンテージのワインのことを「リザーヴワイン」と呼んでいます。
このノン・ヴィンテージシャンパンですが、これが悪いことかというと必ずしもそうではなく、逆に当たり年とそうでない年のぶどうを巧みにブレンドすることで、安定した品質のシャンパンを世の中に送り出しているということでもあります。
因みに、シャンパンがヴィンテージを名乗るには条件があります。
その年に収穫されたぶどうを100%使用※していること、また瓶内で熟成を3年間以上させていることなど、NVシャンパン以上に厳しい基準が定められています(通常のシャンパンの最低熟成期間は15ヶ月以上です)。
※主としてその年のぶどうを100%使用することが多いのですが、別の年のぶどうも20%まではブレンドしていいことになっています。
それだけ貴重なヴィンテージ・シャンパンなので、毎年必ず造られている訳ではなく、非常にぶどうの出来がいい年※に限って作られます。
ちなみにフランス語でヴィンテージのことを「ミレジム」と呼び、ヴィンテージ・シャンパンのことを「ミレジメ」と呼ぶことがあります。
※逆に、ぶどうの出来があまりよくない年のことを「オフ・ヴィンテージ」と呼び、一般的には早飲みタイプのワインが多いと言われています。
スパークリングワインの中でも特に品質に優れているシャンパンですが、その中でも更に貴重なヴィンテージ・シャンパン、かなり高価なお買い物になりますが、自分へのご褒美に一度は飲んでみたいですね。
●プレステージュ・シャンパン
厳密に言うならば、ヴィンテージ・シャンパンの更に貴重なものという定義にはならないのですが、それぞれのシャンパン・メゾンが極上のぶどうを使って造る特別な最高級品シャンパンが「プレステージュ・シャンパン」です。
(最も有名なプレステージュ・シャンパンは、モエ・エ・シャンドンの「ドン・ペリニヨン」でしょう。)
各メゾンのフラッグシップ的な存在のシャンパンで、多くはヴィンテージが入っていますが、ノン・ヴィンテージのものもあります。
それぞれのメゾンが自身の威信をかけて造る特別なプレステージュ・シャンパン、美味しくない訳がないですね。
●ミュズレについて
シャンパンのコルクの上にかぶされている王冠のことを「ミュズレ」と呼びます。
正式には、コルクを含めた栓全体のことを指していて、フランス語で「封じる」という意味です。
シャンパンのガス圧は通常のスティルワインよりも遙かに強く、これを頑丈に封じ込めるために、コルクに針金を巻いて更に上からミュズレを被せて強度を高めています。
スパークリングワインやビールなどでも使われることがあり、同様に「ミュズレ」と呼んでいます。
「ミュズレ」にもメーカーによって様々なデザインがあり、これをコレクションして飾るなどしている人もいます。
ちなみに、このミュズレを入れる専用のケースを「ミュズレ・ボード」と呼びます。
●シャンパンの開け方について
よく、F1やプロ野球の表彰台や祝勝会などに、シャンパンを開けてかけあうようなシーンを見かけますね(これを「シャンパン・ファイト」とか「シャンパンシャワー」、「シャンパン・セレブレーション」などと言います)。
これらの際には、シャンパンを思い切り振って、コルクを勢いよく抜いてからシャンパンをかけあいますが、もちろん通常このようなことはできません。
むしろ、シャンパンの味わい方として、大きな音をさせてシャンパンのコルクを抜くことは下品だとされていて、「シャンパン・ファイト」のような開け方は基本NGです。
シャンパンの抜栓作業において、最もスマートなやり方が、極力音を立てないで開栓することだと言われています。
つまり「シャンパン・ファイト」とは真逆のやり方だと言うことですね。
音もさることながら、シャンパンのコルクが人に当たるとケガをすることもあり、シャンパンがあふれ出したりコルクが飛んでいかないよう、静かにあけることが重要です。
そのために事前にやっておくべきことが、シャンパンを十分に冷やしておくことです。
これにより、シャンパンの中身が吹き出しにくくなります。
そして、トーション※などでコルクを覆った上で、片方の手でコルクを押さえながら、逆の手でボトルの底を回していきます。
※「トーション」
ウェイターがサービス時に持っているタオルなどの布巾のことです。
コルクが外れそうになったら、コルクとボトルを少しずつ左右に振りながら、音をたてないようにしてコルクをハズします。
うまく外せれば、「ポン」という音ではなく「シュ」という音がします。
フランスではこの音を「淑女のため息」と呼んでいます。いかにもフランスらしい、お洒落な表現ですね。
●シャンパン・サーベル(シャンパン・サーベラージュ)
正式な抜栓方法とはかなり異なりますが、サーベルを利用してボトルの口ごとカットし、コルクを吹き飛ばしてしまう派手なやり方です。
結婚式の披露宴や大がかりなセレモニーの場など、かなり見られる場は限られてきます。
シャンパンが吹きこぼれたり、コルクが飛んでいったりと、熟練のテクニックが必要になってきますので、きちんとしたトレーニングを積んだソムリエなどでないとできない抜栓方法ですね。
●シャンパンと結婚披露宴について
シャンパンと言えば、結婚式の披露宴などの乾杯で飲まれることが多いですが、なぜでしょうか。
もともとシャンパーニュ地方の特産物であるシャンパンですが、フランスでは折に触れてお祝い事などがあった際にシャンパンを飲んで祝っていたようです。
その習慣が世界にも広がっていった、というのが一説ですが、それ以外にもお祝い事に相応しいいくつかの理由が挙げられます。
そもそもですが、フランスにはシャンパンの「泡」に「幸せ」という意味があるようで、シャンパンの気泡が途切れることなく下から上に登っていく様を見て、「幸せが半永久的に続く」ように願いを込めているのだそうです。
またシャンパーニュ地方では、シャンパンの泡を星に見立てることもあり、シャンパンのボトルの中には数億もの気泡が含まれていることから、シャンパンを飲むことを「星を飲む」とも表現します。
いかにもロマンティックで、披露宴に相応しい飲み物と言えますね。
更に、シャンパングラスで乾杯する際に鳴る「チン」という音にも「魔除け」の意味があり、新郎新婦の未来に災いが起こらないように祈るという行為の表れとも言われています。
ただし、高級なシャンパングラスは薄張りであることも多く、割れる危険があることから、一般的なシャンパンの乾杯の際には、グラスを合わせずに目の高さに掲げるだけで乾杯とすることのほうが多いです。
まだあります。グラスに注がれたシャンパンに耳を近づけると、かすかに「パチパチ」という泡が弾けるような音が聞こえてきます。
フランスでは昔から、この音を「天使の拍手」だと言い伝えてきていて、やはりこのエピソードも新郎新婦を祝福するのに相応しいと言えるのではないかと思います。
前述したようにシャンパンは決して安価な飲み物ではありませんが、結婚披露宴の場で乾杯の役目を担うには、まさに相応しい飲み物なのかもしれませんね。
●シャンパン・タワー
シャンパングラスを下からピラミッド状に積み上げていき、上からシャンパンを注いで、溢れたシャンパンが徐々に下のグラスに満たされていく、というイベントを「シャンパン・タワー」と呼びます。
主に結婚披露宴やホストクラブなどで見られます。別名、「シャンパン・ピラミッド」とも呼びます。
●シャンパンのグラスについて
一般的にシャンパンを飲む際に使われるグラスは2種類あります。
1つは縦に長く横幅がほとんどないスリムなグラス、もう1つは逆に高さはあまりないものの、横幅が広くとられているグラスです。
前者は「フルート型グラス」、後者は「クープ型グラス」と呼ばれています。
「フルート型グラス」が世の中に出たのは1980年代と比較的最近で、シャンパンの特徴である「綺麗な泡立ち」をより視覚的にも楽しめるよう工夫されたグラスです。
一方で「クープ型グラス」はより伝統的なグラスで、晩餐会などの正式なパーティの場でシャンパンが供される場合は、こちらの「クープ型グラス」を使うのが正しい作法とされています。
これはなぜなのでしょうか。一般的に正式な晩餐会などは立食形式で行なわれることが多く、参加者はお互いにお酒を飲みながら親交を深めます。
その際、底の深いフルートグラスを使うと、シャンパンを飲み干すときに正面の相手の視線を外し、あおるようにグラスを掲げないと飲み干すことができません。
一方、クープ型グラスは底が浅く横にグラスが広がっていることから、相手の視線を逸らすことなくシャンパンが飲めます。
よりスマートに談笑が出来るということですね。
しかしながらこうした場ではなく、レストランなどで着席をしてフランス料理を楽しむようなシーンでのシャンパンについては、今ではフルートグラスのほうが一般的になっています。
そう言われてみると、かつての古い映画などでシャンパンを飲むシーンでは、クープグラスのほうが一般的だったかもしれません。
●シャンパンの酒言葉?について
シェリーやポート・ワイン同様※、シャンパンにも酒言葉のようなものがあって、以下に紹介します。
※シェリー、ポート・ワインの酒言葉については、酒精強化ワインのページをご参照ください。
シャンパンというお酒は、上述してきたように「特別なお酒」で、何かの記念日など、メモリアルな日に飲まれることが多いお酒です。
従って、恋人達が特別なデートの日などに飲むというのもある意味自然な流れで、ここから派生したものだと思われますが、「男女のカップルがシャンパンを飲むということは、その二人は特別な関係にある」と昔から言われています。
もちろんこれも単なる俗説で、必ずしも上記の話が全て当てはまるものではありませんが、値段も高価で味わいも抜群、加えて雰囲気的にも特別な記念日に二人で飲むのに相応しいお酒だということになると、あながち俗説だとは言えないのかもしれませんね。
逆に、男性が意中の女性を口説き落とそうとする際、ここぞというタイミングで格好良く上等なシャンパンをオーダーするという、アイテムとして使う男性もいるのかもしれませんね。
●沈没船のシャンパンについて
まれにですが、沈没した船が引き上げられたりサルベージされたりして、船の中からワインやお酒が出てくることがあります。
その中でも比較的最近発見されたシャンパンが世間を驚かせました。
①海底で80年間の時を過ごしたシャンパン
1998年、スウェーデン沖合いの海底である貨物船が確認されました。
この貨物船は「ジョンコピング号」で、第一次世界大戦中の1916年にドイツ軍の潜水艦Uボートによって撃沈された船でした。
この船はロシア皇帝ニコライ2世の命令を受けて、フィンランドに駐留しているロシア軍兵士を労うためのワイン、コニャック、シャンパンなど総数およそ1万本を積載していました。
しかしながら1916年の11月3日、スウェーデン沖でUボートの攻撃を受けたジョンコピング号は、これらのお酒とともに海底64メートルに沈んでしまいます。
そして1998年、ジョンコピング号は引き上げられましたが、シャンパン以外のお酒類は全て劣化していました。
シャンパンだけは非常にいいコンディションを保っていて、抜栓後のテイスティングでも驚くほどの若々しい状態だったと言われています。
この理由ですが、いくつもの偶然が重なって起きた奇跡のような出来事でした。
まず水深64メートルという深さですが、たまたまこの深さの水圧とシャンパンのカス圧が一緒だったため、海水の侵入を防ぐことができました。
さらに64mという水深は、ワインの天敵である太陽光をシャットアウトすることが可能な深さでした。
さらにこの深さの水温はシャンパンの保存に最適な温度を保つことが出来、これらの偶然が重なってシャンパンの品質は維持できていました。
ちなみにこのシャンパンですが、1907年のヴィンテージの「エイドシック・モノポール」で、約80年間の時を経て世の中に出てきたことになります。
上記のようにいくつかの偶然がもたらした幸運な出来事であることは間違いありませんが、「エイドシック・モノポール」自体が長期熟成に耐えうる高品質なシャンパンであったことも勿論言うまでもありません。
その当時、このシャンパンを試飲したソムリエやワイン評論家はこぞってその味わいを絶賛して「このまま地上で数年間保存しておいても全く問題ない」と太鼓判を押しています。
この伝説によりエイドシック・モノポールは一躍有名になり、「奇跡のシャンパン」として世界中でニュースになりました。
②180年前の沈没船から引き上げられたシャンパン
もう一つの沈没船のシャンパンは、さらに最近発見されたものになります。
2010年8月、フィンランド沖合いのバルト海海底に沈んだ難破船から168本のシャンパンが引き上げられました。
発見されたボトルはにラベルがなかったものの、コルクにあった刻印から1つは「ヴーヴ・クリコ社」のものであることが判明し、さらにもう一つは1829年に「ジャクソン社」に統合された、今はなきシャンパンメーカー「ジュグラー」であることが分かりました。
これらのシャンパンは、当時のルイ16世がロシア皇帝に送ったものとも、ドイツ連邦に送られたものとも言われていますが、正確なところは分かっていません。
実はこの異論には、シャンパンに含まれる糖度が密接に関わっています。
これらのシャンパンの分析をしたところ、このシャンパンには1リットルあたり約140グラムの糖分が含まれていたことが分かり、これは現在一般的なシャンパンに含まれる糖度のおよそ3倍にあたります。
一方で、ヴーヴクリコ社のクリコ夫人とロシアのサンクトペテルブルクの業者との間で交わされた手紙から、ロシアでは当時、シャンパン1リットルあたり約300グラムの糖分が含まれた甘口ワインが好まれたことが分かっています。
つまり難破船から発見されたシャンパンに含まれる糖度ではロシア皇帝の口に合わないということになり、ここからより辛口のシャンパンを好んだドイツ連邦に送られたのでは、という推論につながる訳です。
いずれにしても、当時のシャンパンは現在のものと比べて相当甘口であったことは間違いないようです。
このヴーヴ・クリコのシャンパンについて、専門家の様々な調査によって1830年代前半のノン・ヴィンテージであることが確認されていて、これが事実であるならおよそ180年間海底で眠っていたことになります。
気になる味わいですが、引き上げ直後にテイスティングしたフィンランドのソムリエの方によると「クリコ、ジュグラーの双方ともにとても生き生きとして若々しくフレッシュ。またやはり予想していたとおり、現代のシャンパンに比べると甘口でミツバチのような香りがして、輝くような黄金色をしている。」と評していたそうです。
180年もの以前のシャンパンが劣化していなかったということですが、こちらも上述の「ジョンコピング号」の「エイドシック・モノポール」同様、難破船の置かれた海底での環境がシャンパンの保存に最適な状態だったことが寄与していたようです。
水深55メートルで水温5度、真っ暗な海底・・・・。こうした偶然が重なって、シャンパンにとって理想的な保存状態が出来上がったという訳ですね。
ちなみにこの「難破船から引き上げられたシャンパン」ですが、2011年のオークションでは「ヴーヴ・クリコ」のものが約390万円、2012年にフィンランドで行なわれたオークションでは11本(クリコ4本、ジュグラー6本、エイドシック1本)合計で約1240万円で落札されたそうです。
またこの難破船ですが、いまだ引き上げられておらず、まだ海底で眠っているシャンパンもあるのだとか・・・。
ちなみにこの難破船が沈んでいる場所ですが、完全に秘密にされているそうです。それはそうですよね(笑)
・海底での熟成
上記のような話を聞くと、「もしかしたら海底でワインを熟成させた方が味わいはよくなるのではないか?」と考える人が出てきても不思議ではないですね。
実際、海底でワインを熟成させた人もいて、そのテイスティングコメントでは「美味になっている」と答えた人も多かったのだとか・・・。
海の中で熟成させるのは、いろいろとハードルが高い部分もあるのですが、何とも浪漫を感じさせられる取り組みですね。
・スプマンテイタリア
イタリアで作られるスパークリングワインの総称です。主なスプマンテには以下のようなものがあります。
また、イタリアで作られる、弱発泡性ワインは「フリッツアンテ」と呼ばれます。
(プロセッコ)
イタリアのヴェネト州で作られるスパークリングワインで、ぶどう品種は「グレーラ」という品種を使用します。
(フランチャコルタ)
ミラノのあるロンバルディア州産のスパークリングワインです。
シャンパン同様、瓶内二次発酵方式で作られていて、瓶内熟成期間はシャンパン以上の18カ月間(シャンパンは15ヶ月以上)熟成させることを義務づけており、その出来栄えの素晴らしさから「フランチャコルタの奇跡」とも称されます。
イタリアのスパークリングワインの最高峰と言っても過言ではありません。
(アスティ・スプマンテ)
北イタリア・ピエモンテ州産のスプマンテです。
(ランブルスコ)
珍しい赤いスパークリングワインで、イタリア北東部、美食の街として有名なエミリア・ロマーニャ州で作られます。
甘口の「ドルチェ」から辛口の「セッコ」まで、様々なタイプがあります。
なぜ赤いスパークリングワインがあまりないのか、明確な理由ははっきりとは分かっていないのですが、一説によれば、「赤ワインのほうがオリが出やすい」「赤のタンニン成分(苦味成分)が、二酸化炭素(炭酸ガス)と絡みにくい」などと言われています。
・シャウムヴァイン(ゼクト)ドイツ
ドイツで生産されるスパークリングワインを「シャウムヴァイン」と言いますが、一般的には「ゼクト」と呼ばれ、以下のように大きく3つに分かれます。
(ドイッチャー・ゼクトb.A.)
ドイツ国内の指定栽培地域(b.A.)で作られたぶどうを100%使用したスパークリングワインで、ドイツのスパークリングワインの最高級品です。
(ドイッチャー・ゼクト)
ドイツ国内で作られ、ドイツ産のぶどうを100%使用したスパークリングワインです。
(ゼクト)
ドイツ国内で作られ、EU加盟国内で作られたぶどうを使用したスパークリングワインです。
●パールヴァイン(ワイン)
ドイツにおける弱発泡性ワインの総称で、室温で1~2.5気圧のスパークリングワインを言います。
白ワイン、赤ワイン双方があり、通常は「炭酸ガス注入方式」で作られることが多いです。
「炭酸ガス注入方式」の詳細については、スパークリングワインの製法の項目をご参照ください。
●セッコ(Secco)
基本的には上記の通り、ドイツにおける弱発泡性ワインの総称は「パールヴァイン」ですが、イタリア産のスパークリングワイン「プロセッコ」がドイツでは親しまれていて、カジュアルな微発泡性ワインのことを「セッコ」という名前で販売していることが多いそうです。
・エスプモーソ(カヴァ)スペイン
スペインのスパークリングワインは「エスプモーソ」呼ばれますが、そのうちシャンパンと同様のトラディショナル方式で作られたワインを特別に「カヴァ」と呼びます。
カヴァのほとんど(95%)はカタルーニャ地方で作られていて、「フレシネ」と「コドーニュ」という2大生産者が有名です。
「カヴァ」とはカタルーニャ語で「セラー」を意味し、ワインを貯蔵する洞窟(Cave)に由来しています。
●世界三大スパークリングワイン
その販売実績の多さから、イタリアの「プロセッコ」、フランスの「シャンパン」に次いで「カヴァ」が並び、「世界三大スパークリングワイン」の1つに挙げられています。
・ペニーナ(スロヴェニア)
スロヴェニアのスパークリングワインは「ペニーナ」呼ばれます。