フォーティファイド・ワイン(酒精強化ワイン)
- 醸造酒:
- ワイン
概要
ワインを発酵させている途中、または発酵後にブランデーやアルコールを添加して、全体のアルコール度数を15度~20度前後まで高めた(酒精強化)ワインです。
これによりコクや保存性が高まり、中には100年以上も寝かせた超々熟成のものもあります。
一般的に、ワインの発酵中にアルコールを添加したものは、発酵が止まってぶどうの糖分がワインに残るため甘口のお酒が多く、逆に発酵後にアルコール添加したものは辛口のお酒が多いと言われています。
甘口はデザート用、辛口はアペリティフ(食前酒)として飲まれることが多いと言われていますが、こちらも個人的なお好みで飲んでいただければいいかと思います。
余談ですが、食後酒は「ディジェスティフ」とも呼ばれます。
※フォーティファイドワイン自体を、混成酒に分類する分類法もありますが、ここではワインの1つのカテゴリとして紹介させていただきました。
予めご承知置きください。
酒精強化ワイン(シェリー)の主な製法について
酒精強化ワインにもいくつかの酒類があり、それぞれ少しずつ製法も違うのですが、ここでは主としてシェリーの製法をみていきたいと思います。
シェリーに使われるぶどう品種は白ぶどう品種で、造り方も基本的には白ワインの製法に基づいています。
①除梗(じょこう)・破砕
収穫されたぶどうは、すぐに圧搾場(ラガール)に運ばれ、ここでぶどうの糖度(ボーメ度)や品質のチェックを受けます。
その後に、「トルバ」と呼ばれる除梗機にぶどうは投入され、除梗・破砕されます。
②圧搾
除梗後、ぶどうを絞って流れ出る果汁を集めますが、この果汁は下記の3つのタイプに分けられます。
・「プリメラ・イェマ」
圧力をかけずに、ぶどうの重みだけで流れ出る最初の果汁です。
「プリメラ・イェマ」とは「一番目の黄色味」という意味で、つまり黄金色に輝く一番搾り果汁を指します。
これは全体の約65%を占める果汁で、主としてフィノやマンサニージャ※といった淡い色合いのシェリーに使われます。
スティルワイン同様、「フリーラン」とも呼ばれます。
※フィノ、マンサニージャの詳細はシェリーの項目をご参照ください。
・「セグンダ・イェマ」
「プリメラ・イェマ」の次に、約60キロの圧力をかけて絞った果汁を、「セグンダ・イェマ」と言います。
「セグンダ」は「2番目の」という意味です。二番絞り果汁ということですね。
これは全体の約20%を占める果汁で、プレスの影響の分果皮のニュアンスが出ていて、主にオロロソなどのボディのしっかりしたシェリーに使われます。
・「プレンサ」
最後に、約80キロの圧力をかけて絞った果汁を集めます。
これを「プレンサ」と呼び、意味は「プレス」です。「プレス果汁」とも呼ばれます。
全体の約10%を占めていて、こちらは蒸留され、主にブランデーなどの原料に回されます。
③アルコール発酵
スティルワインと同様、シェリーのアルコール発酵も、タンクによる発酵、あるいは昔ながらの樽発酵を行なうところもあります。
シェリーの発酵は、大きく下記の2段階に分けられます。
・「トゥムルトゥオサ」
最初の発酵を「トゥムルトゥオサ」と呼び、これは3日から4日間程度続きます。
意味は「激しい発酵」で、ここでぶどう糖分のおよそ95%はアルコールに変わります。
・「レンタ」
次に行われる発酵は「レンタ」で、約1週間をかけて残りの糖分をゆっくりとアルコールに変えていきます。
「レンタ」とは「穏やかな発酵」という意味です。
こうした2段階の発酵を経て、約11%から12%超のアルコール度数の辛口白ワイン、シェリーのベースが出来上がります。
●モスト
スティルワインにおいては、果実を搾った後に、果汁が発酵する前の液体のことを「マスト(ムスト)」と呼びましたが、シェリー生産地域では、発酵後、酒精強化されるまでの果汁を「モスト(あるいはマスト)」と呼んでいます。
④1回目の分類
「1回目の分類」とは、モストの分類を指します。
上述したように、モストの性格によって、大きく3種類に大別されます。
1つめは一番搾りの淡色でデリケートなモストで、これはフィノやマンサニージャの原酒となります。
2つめは圧力をかけて絞られた二番絞りのモストで、これはオロロソなどの原酒となります。
3つめのプレス果汁は、このままでは飲用に適さないモストであるとされ、蒸留酒の元(蒸留用モスト)となります。
これらの分類の工程は、シェリーならではの独特の工程と言えるでしょう。
こうした分類は、「カパタス(畑の責任者)」と呼ばれる人達が、一つ一つの樽を慎重にチェックしていきます。
⑤滓引き(デスリオ)
発酵を終えたモストは、発酵タンクの中で静置され、11月ころになり気温ががってくると、オリがタンクの底に沈んでいき、モストは濁りがとれて澄んだ状態になります。
上澄み部分のモストと、底に沈んだオリを分ける作業を「オリ引き」といい、この地域では「デスリオ」と呼びます。
この作業自体は、日本酒やワインと変わるところはありません。
⑥酒精強化(エンカベサード)
滓引きを終えたモストに対し、シェリーの場合は、主にラ・マンチャ産の白ぶどうを蒸留したブランデー(無色です)を添加(酒精強化)します。
このブランデーのアルコール度数は、約95%から96%あるのですが、ワインに与える刺激を低減するために、ブランデーとワインを混ぜ合せてアルコール度数を下げたものが使われます。
これを「ミテアド」あるいは「ミタッド・イ・ミタッド(スペイン語で「半分半分の意味)」と呼びます。
この酒精強化の度数やタイミングは、それぞれのシェリーのタイプによって異なります。
・フィノ、マンサニージャ
アルコール度数15%から15.5%に酒精強化を行います。
この度数設定は、この度数がフロール※が一番活動しやすいからと言われています。
※「フロール」については後述します。
・オロロソ
アルコール度数17%以上に酒精強化を行います。
アルコール度数を17%以上にすると、酵母が膜を張れなくなり、このタイプのワインは酸化熟成※に入っていきます。
※「酸化熟成」については後述します。
・ペドロ・ヒメネス、モスカテル
これらの極甘口タイプのシェリーを造る場合、アルコール発酵のかなり早い段階(初期段階)でアルコール度数15%以上に酒精強化を行います。
これによりぶどうの糖分が最大限残されて、出来上がったシェリーは非常に甘口のワインとなります。
⑦ソブレタブラ、2回目の分類
酒精強化を終えて、ソレラシステム※に入る前の単一収穫年のワインを「ソブレタブラ」と呼び、シェリー生産地域では、この時点から「モスト」ではなく「ワイン」と呼び表します。
※「ソレラシステム」については後述します。
酒精強化されたワインは、樽またはタンクの中でゆっくりと寝かされ、フロールの生成を待ちます。
この工程を数ヶ月から1年前後経た上で、2回目の分類が行なわれます。
2回目の分類は、主として「フロールの育成が順調かそうでないか」の観点で仕分けられます。
そのフロールの健全度合いに応じて、それぞれのタイプのシェリーの熟成工程をへと進められます。
●フロール
酵母の一種で、発酵が終了するころにワインの表面に浮かび上がって膜を形成(産膜酵母)します。
これにより、ワインが直接空気と触れるのを防ぎ、またシェリー独特のドライでフレッシュな風味を与えます。
これをフロール(「花」の意味です)と呼びます。
・生物学的熟成
ワインがフロールの下で熟成することを「生物学的熟成」と呼びます。
熟成中、ワインにアセトアルデヒドの成分が多くなり、シェリー独特の風味(フロール香)が生じます。
・酸化熟成
一方で、フロールがなく、ワインの液面を空気(酸素)と触れさせることで熟成させる方法を「酸化熟成」と呼びます。
一般的なワインの醸造においては、酸化は好ましくない化学変化ですが、シェリー造りにおいては、この酸化熟成によりワインは琥珀色に色づき、空気に触れて熟成することで様々な特徴が現れます。
⑧熟成、ソレラ・システム
シェリーは、品質を一定に保つために、熟成された樽に若い樽を少しずつ継ぎ足していく「ソレラシステム」という、独特の熟成方法をとることでも知られています。
ソレラ・システムは、正式には「エル・システマ・デ・クリアデラ・イ・ソレラ」といいます。
「ソレラ」は一番下の樽のことで、スペイン語で「床」を語源に持ちます。
最も熟成年度の長い樽です。この樽の上に「クリアデラ」と呼ばれる、より熟成期間の短い樽を積み上げていきます。
「クリアデラ」には「第1クリアデラ」「第2クリアデラ」・・・・というように数字がつけられ、数字が多くなればなるほど熟成期間の短い(若い)樽ということです。
そして、一番上の樽には、単一収穫年の若いワイン、「ソブレタブラ」が置かれます。
ワインを瓶詰めする際には、一番下の「ソレラ」から抜き取るようにしていて、その目減り分は「第1クリアデラ」から補填します。
「第1クリアデラ」の目減り分はさらにその上の「第2クリアデラ」から・・・というように徐々にそれぞれの樽に補充を行なっていきます。
こうすることで、複数の熟成年度、複数の樽のワインが複雑に混ざり合うことになり、均一な品質のシェリーが生み出されることになります。
沖縄の泡盛など、世界にもいくつか似たような熟成方法をとるお酒はありますが、シェリー独特の熟成方法といっていいでしょう。
●サカ・イ・ロシオ
ワインを樽から抜き取ることを「サカ」、樽にワインを補充することを「ロシオ」といいます。
この作業を「サカ・イ・ロシオ」と呼んでいて、どちらもソレラ・システムには欠かせない作業です。(「コリダ・デ・エスカラ」とも呼ばれます。)
1回の「サカ」でワインを抜き取る量は、樽の1/3以下にしなければならないという制限があります。
⑨瓶詰め
瓶詰め工程は、清澄→冷却処理→ボトリングの順に行なわれます。
・清澄
ワインの中の不純物を沈殿させる作業を「清澄」といいます。
シェリーにおいては、この清澄剤として主に、ベントナイト(粘土)や活性炭、ゼラチンなどが使用されますが、以前は卵白を使用していたそうです。
このあたりは白ワインの清澄と同様の手法ですね。
※「清澄」の詳細については、ワインのページをご参照ください。
・冷却処理
清澄を済ませたワインは冷却タンクに入れられます。
ここでマイナス6℃にまでワインを冷やし、酒石酸※を結晶化させた上で除去します。
※「酒石酸」の詳細については、赤ワインのページをご参照ください。
・ボトリング
ボトルを高温で殺菌洗浄して、微生物や不純物が入らないようにフィルターをかけた上で、ワインをボトリング(瓶詰め)します。
世界の主なフォーティファイド・ワイン
世界には、酒精強化ワインを生産している地域がたくさんありますが、特に代表的なスペインのシェリー、ポルトガルのポート・ワインとマディラ・ワインを指して「世界三大フォーティファイドワイン」と呼んでいます。
(これに、イタリアの「マルサラ・ワイン」を加えて「世界4大フォーティファイドワイン」と表現することもあります。)
・シェリースペイン
シェリーの産地は、アンダルシア州のイベリア半島最南端の3つの町、ヘレス・サンルーカル・プエルト※とその周辺の認定地域で作られるフォーティファイドワインです。
スペインでは「ビノ・デ・ヘレス」と呼ばれ、スペイン国外ではイギリスやオランダで盛んに飲まれているお酒です。
また、シェリーの空き樽は、ウィスキーの熟成等に好んで使われることでも知られていますね。
ただし、シェリーを名乗れるのは上記の3つの町で熟成されたものだけで、この3つの町を結んだ地域を「シェリー三角地帯(シェリー・トライアングル)」と呼びます。
※正式な町の名前は以下のとおりです。
ヘレス=ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ
サンルーカル=サンルーカル・デ・パラメダ
プエルト=エル・プエルト・デ・サンタ・マリア
シェリーの原料となるのは、パロミノ、ペドロ・ヒメネス、モスカテルの3品種で、すべて白ぶどう種です。
また、シェリーの製造方法の特徴として、後述の他の酒精強化ワインのほとんどが、発酵途中にアルコールを添加するのに対し、シェリーは主に発酵後にアルコールを加えます。
●シェリーのタイプについて
シェリーは、その製法や原料・味のタイプの違い等から大きく下記の3タイプに分けられます。
さらにその味わいなどにより10タイプに分類されます。
①ビノ・ヘネロソ(辛口タイプ)
完全発酵させた辛口ワインです。
完全発酵させることにより、果汁に含まれる糖分はアルコールに変わり、辛口に仕上ります。
また、フロール※の下で生物学的熟成を行なうことにより、酵母がワインの中のアルコールや残糖分などを養分にして繁殖することで、さらにドライでシャープな味わいのワインになります。
※フロール、生物学的熟成については、「酒精強化ワインの主な製法」の項目をご参照ください。
・フィノ
淡い麦わら色で、アーモンドのような香りのシャープな辛口です。
・マンサニージャ
フィノと同様の製法で作られますが、サンルーカルでのみ作られます。
マンサニージャの平均熟成年数は3年から5年ですが、さらに長期熟成させた風味豊かなマンサニージャは、「マンサニージャ・パサダ」と呼ばれます。
・アモンティリャード
フィノやマンサニージャをさらに熟成させることで作られます。
琥珀色で、繊細・ヘーゼルナッツのような香りと適度なボディを持つ辛口です。
フロールによる生物学的熟成※を経た後に、酸素による酸化熟成※の2つの異なる熟成を行います。
アメリカの推理小説家、エドガー・アラン・ポーの「アモンティリャードの樽」でもよく知られていますね。
※生物学的熟成、酸化熟成については、「酒精強化ワインの主な製法」の項目をご参照ください。
・オロロソ
琥珀色からマホガニーのような色合いで、香り豊かでフルボディタイプの辛口です。
・パロ・コルタド
アモンティリャードの香りとオロロソのボディを併せ持つと言われる、希少なものです。
②ビノ・ヘネロソ・デ・リコール(甘口タイプ)
①と③の2種類のシェリーをブレンドした甘口のワインです。
・ペール・クリーム
主にフィノやマンサニージャをベースに、これに濃縮果汁※を加えて作られます。
フレッシュな甘口タイプです。
・ミディアム
主にアモンティリャードやオロロソをベースに、これにペドロ・ヒメネス(後述)や濃縮果汁※を加えてブレンドして作られます。
ペール・クリームよりもどっしりとしたボディを持ちます。
・クリーム
主にオロロソをベースにして、これにペドロ・ヒメネスや濃縮果汁を加えて作られます。
ミディアムよりも、さらに甘さや複雑さが加わります。
※「濃縮果汁」
ぶどう果汁の水分を蒸発させて濃縮し、糖分以外の成分を濾過、清澄した無色無臭の甘い果汁です。
「エメ・セ・エレ」と呼ばれていて、「MCR」と表記されることが多いです。
③ビノ・ドゥルセ・ナトゥラル(極甘口タイプ)
発酵の初期段階(部分発酵)で酒精強化を行なうことで、ぶどう果汁の中の糖分を最大限残します。
これにより仕上ったワインは、極甘口タイプになります。
・ペドロ・ヒメネス
ペドロ・ヒメネス種のぶどうを天日干し(ソレオ)を行い、これにより糖度の高い極甘口のシェリーが作られます。
非常に濃い色をしています。
・モスカテル
モスカテル種のぶどうを原料とし、ペドロ・ヒメネスと同様の製法で作られる極甘口タイプのシェリーです。
ソレオしてから造る「モスカテル・パサス」と、ソレオせずに造る「モスカテル・ドラド」があります。
●熟成期間認定シェリーについて
従来、ソレラシステムもあることから、シェリーに熟成年数を表記することはあまりなかったのですが、2000年にシェリー原産地呼称統制委員会が熟成期間認定制度を制定しました。
これにより、20年以上の熟成のものを「VOS」、30年以上の熟成のものを「VORS」として販売できるようになりました。
「VOS」・・VeryOldSherry
「VORS」・・VeryOldRareSherry
熟成期間認定シェリーのタイプは、アモンティリャード、パロ・コルタド、オロロソ、ミディアム、クリーム、ペドロ・ヒメネスの6種類です。
その後更に、12年と15年の熟成年数表記シェリーが認定されました。
熟成年数表記シェリーのタイプは、上記の6種類にモスカテルを加えた7種類に限定されています。
いずれの認定シェリーにおいても、シェリー原産地統制呼称委員会が厳格な検査や分析を行ない、認められたシェリーのみがこの呼称を名乗ることができます。
●シェリーの酒言葉について
また、シェリーには「花言葉」ならぬ「酒言葉」があると言われています。
シェリーは別名「恋の酒」とも言われ、女性がシェリーを飲みたいと言ったときには、「今晩あなたとお付き合いしたい」という意味があるといいますが、さすがにこれは、今では知らない女性のほうが多いと思います(笑)
●シェリーの用語について
アルマセニスタ
古くから伝わるボデガ(蔵)を持って、代々受け継がれてきた素晴らしいシェリーをストックさせている人々のことをアルマセニスタと呼びます。
「ストック・ホルダー」の意味です。
かつては数百人いましたが、今では数十人になってしまいました。
アルマセニスタ・シェリーは、今や「シェリーのグラン・クリュ」とも言われる高品質を誇っています。
ベネンシア・ドール
シェリーの熟成度合いや品質をチェックするテイスターを「ベネンシア・ドール」と呼びます。
約1メートルの柄の先にカップのついた柄杓状の道具(ベネンシア)を自在に操るパフォーマンスは、一見の価値ありです。
アニャダ
上述したように、シェリーの製法としてはソレラ・システムが基本です。
従って、複数の年度に収穫されたぶどうが混ざり合っている訳ですが、単一収穫年(ヴィンテージ)のみのワインで熟成し、瓶詰め・販売されるものもあり、これを「アニャダ」と呼びます。
この「アニャダ」を名乗るには、統制委員会の品質基準をクリアする必要があり、その上でモストが酒精強化されて樽に入れられます。
樽に入れる際にも統制委員会の監視のもとに封印され、また樽を開ける際にも事前に委員会に申請しなければなりません。
エン・ラマ(生シェリー)
通常のシェリー造りにおいて行われる、濾過・清澄・冷却処理などを省いて瓶詰めされたシェリーを「エン・ラマ」と呼びます。
樽出しの味わいがダイレクトに楽しめるシェリーですが、殺菌処理などを行なっていないため開封後はなるべく早く飲みきる必要があります。
いわゆる「生シェリー」ということですね。
タバンコ
ヘレス地方独特の飲み屋で、ボデガからシェリーの樽を購入し、それを客に出したり、量り売りもやっている飲み屋を「タバンコ」と言います。
かつては、男性しか入れなかったそうですが、今では女性も気軽に楽しめる場所になりました。
「タバンコ」の近所に住んでいて、毎日のように飲みに来る常連さんを「パロキアーノス」と呼んでいるそうです。
・ポート・ワインポルトガル
ポートワインは、ポルトガル北部のポルト市からドウロ川を100㎞ほど遡った、ドウロ地域で作られるぶどうを原料として作られます。
世界で最も早く原産地呼称を取り入れた地域としても知られていて、”ポルトガルの宝石”とも称されています。
ポートワインに使われるぶどう品種は、シェリーと比較しても多彩で、黒ぶどうからも白ぶどうからも作られます。
具体的なぶどう品種は、トウリガ・ナシオナル、トウリガ・フランカ、ティンタ・ロリスなど、多様な地元品種のぶどうが使われます。
また、発酵途中に77%のグレープ・スピリッツを添加して発酵を止めるため、独特の甘みとコクを持ち、さらにシェリーよりも全体的に度数は高めです。
春先になると、ワインはドウロ川河口の街「ヴィラ・ノヴァ・デ・ガイア」に移されて熟成させます。
このガイア市には、ポートワインのロッジ(熟成倉庫)があり、その管理は「シッパー」と呼ばれる商社が行なっています。
多くのシッパーは、そのままポート・ワインのメーカーでもあり、観光客を受け入れて見学や試飲が可能なロッジもあります。
ガイア市のロッジで熟成されたポート・ワインは、対岸のポルト港に運ばれて、ここから世界各国に輸出されてきました。
なお、ドウロ地域のぶどう畑のあるスレート土壌※の土地(キンタ)で熟成させてから出荷するメーカーもあります。
※「スレート土壌」日本語で「粘板岩」と訳され、ワイン作りに向いている、水はけのよい土壌です。
熟成を終えたワインは、ブレンダーの手によって各メーカーの味に整えられて、ボトリングされた上でポート・ワインとして出荷されます。
1543年、種子島にやってきたポルトガル人による「鉄砲伝来」はみなさんよくご存じの歴史だと思いますが、同時期にワインももたらされてと言われています。
あの織田信長の飲んでいたワインは、実はこの「ポート・ワイン」だったとも伝わっています。
●ポート・ワインの分類について
ポートワインは大きくは下記の3分類に分けられます。
(ルビー・ポート)
黒ぶどう品種から作られるポートワインで、文字通りルビー色をしたポートワインです。
平均3年の樽熟成を行いますが、ぶどうの出来により更に下記の2つに分けられます。
・ヴィンテージ・ポート
作柄の良い年に、特に優れたぶどうからその年のものだけを使って作られる単一収穫年のルビー・ポートです。
収穫から2年後にヴィンテージ・ポートの申請を行い、許可をもらったぶどうのみヴィンテージ・ポートを名乗れます。
2年の樽熟成の後、濾過をせずに瓶詰めをして、瓶の中で更に長期熟成を行う、ポートワインの最高級品です。
・レイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポート(LBV)
ヴィンテージ・ポートまでには達しませんが、良いぶどうからその年のものだけを使って作られる単一収穫年のルビーです。
収穫から4年目に申請を行い、許可をもらったぶどうのみレイト・ボトルド・ヴィンテージ・ポートを名乗れます。
(トゥニー・ポート)
ルビーポートと同様のぶどう品種から作られますが、熟成期間中に酸化が進み、黄褐色(トゥニー)化したポートワインです。
トゥニー・ポートも主として下記に分類されます。
・熟成年数表記トゥニー・ポート
樽熟成で、10年・20年・30年・40年ものがあります。
熟成年数の表記は、ブレンドされたポートワインの平均年数をとります。
こちらも当局への申請・許可が必要となります。
・コリエイタ
単一収穫年のぶどうを使い、7年以上樽熟成させたトゥニー・ポートを「コリエイタ」といいます。
こちらも当局への申請・許可が必要になります。
(ホワイト・ポート)
白ぶどう品種から作られるポートワインで、軽めの辛口から甘口まで様々です。
●ポート・ワインの酒言葉について
また、シェリーと同様に、ポートワインにも「酒言葉」があると言われています。
ただ、こちらはシェリーとは逆で、「男性が女性に愛を告白する酒」だと言われていて、男性が勧めるポートワインを女性が飲まなかったら「他に好きな人がいます」、飲んだら「あなたに全てを捧げます」ということだそうです。
ただこちらも、シェリー同様知らない人がほとんどだと思ったほうがよさそうですね(笑)
・マディラ・ワインポルトガル
マディラワインは、アフリカ大陸モロッコの西約600㎞、大西洋上に浮かぶポルトガル領のマディラ島で作られるフォーティファイドワインです。
マディラ島は「大西洋の真珠」と称えられる美しい島で、ポルトガルの自治地域になります。
世界最高レベルのサッカー選手、クリスティアーノ・ロナウドの出身地としても有名ですね。
マディラ島にポルトガルの船が漂着したのが1418年、入植が始まったのが1419年で、ちょうど今から600年前だと言われていています。
15世紀当時はまさに「大航海時代」の真っ只中で、スペインとともにポルトガルも海外進出を行なっていました。
アフリカやアジアへ進出するその途中、北大西洋でマディラ諸島を発見、ここを航路の中継基地としました。
やがて様々な物質を補給する場所となり、その中にはワインもあったと言われています。
そしてワインの置き場所としての役割に留まらず、同時にワインの熟成庫にもなっていき、さらに島でもぶどうの栽培が開始され、やがてマディラ・ワインの生産が始まっていきました。
日本では料理のソースに加えることでも知られていますね。
●マディラ・ワインの製法について
基本的な製造方法は、他のフォーティファイドワインと大きな違いはありませんが、マディラワインの特徴は「加熱熟成による凝縮」にあると言われています。
他のフォーティファイドワインの熟成は涼しい環境で行われるのですが、マディラワインは敢て加熱をすることで水分の蒸発が進み、糖分・アルコール度数が凝縮されます。
この加熱方法には、下記の2つの方法があります。
カンテイロ
太陽熱によって温度を高くした倉庫(屋根裏部屋)に樽を置き、自然にワインを加熱熟成させる方法です。
「天然加熱方式」とも言われます。
エストゥファ
ステンレスタンク内にワインを入れて、人工的に加熱熟成を行う方法です。
「人工加熱方式」とも言われます。
また、この乾燥炉そのものを指して、「エストゥファ」と呼ぶこともあります。
シェリーと製法が重なる部分もありますが、以下簡単にその工程を見ていきたいと思います。
①除梗(じょこう)
後述するマディラワイン用のぶどうを収穫し、苦みの強い茎(果梗)の部分を取り除きます。
この作業を「除梗(じょこう)」と言います。
②破砕・圧搾(プレス)
除梗後、ぶどうを潰して(破砕)、その上でぶどうを絞って(圧搾)流れ出る果汁を集めます。
③アルコール発酵
②で得られた果汁に酵母を加えてアルコール発酵を行います。
発酵時間は概ね、8時間から6日間かかりますが、この発酵時間の長短によってワインの甘辛が決まることになります。
発酵時間が短いワインは、糖分がまだ残っている状態であるため甘口に、発酵時間が長いワインは、醪(もろみ)発酵がそれだけ進んでいることになるため糖分がほとんど残ってなく、従って辛口のワインに仕上がるということですね。
④酒精強化
③で得られたワインにアルコールを添加して発酵を止めます。
ここで加えられるアルコールは、多くは度数の高いグレープ・スピリッツ(ブランデー)です。上述したように、このアルコール添加のタイミングは、作り手の狙った甘辛口(=残糖度)が反映される時期を見計らって投入されます。
この後、ワインの品質を安定させるため、ワインはタンク内で数ヶ月間休ませます。
⑤加熱熟成
ワインに熱を加えることで酸化・蒸発を促し、酸度・糖度・アルコール度数やワインの色調を高め、これらの成分を凝縮させる工程です。
上述したように、この工程はマディラワイン独自のものです。加熱方法には下記の2種類があります。
エストゥファ
ステンレスタンク内にワインを入れて、人工的に加熱熟成を行う方法です。加熱した後、ワインはこのエストゥファ内で休ませ、約3ヶ月かけてゆっくりと常温にまで下げられます。
カンテイロ
太陽熱によって温度を高くした倉庫(屋根裏部屋)に樽を置き、自然にワインを加熱熟成させる方法です。
普及品は酸化熟成を早めるため、「エストゥファ」を使って加熱熟成させることが多く、高級品にはこの「カンテイロ」での自然の加熱熟成の手法が用いられることが多いと言われています。
⑥熟成
ワインは改めて木樽に入れられて熟成されます。
この熟成の過程で、年間約4%から7%のワインが目減り(エンジェルシェア※)していくと言われています。
液体と木樽との接触面が少ない大きな樽ではこの目減り分が少なく、逆に液体と木樽との接触面が多い小さい樽では蒸発(目減り)が多いと言われています。
※「エンジェルシェア」の詳細については、「スコッチ」のページをご参照ください。
⑦瓶詰め(ボトリング)
こうして出来上がったマディラワインは、ボトリングされた上で出荷されます。
後述しているように、ボトルにはぶどうの収穫年表示があるものや、平均熟成期間表示があるものなど、表記は多様です。
●マディラ・ワインのぶどう品種について
ぶどう品種は黒ぶどうは「ティンタ・ネグラ・モーレ」が有名で、この1品種から甘口から辛口まで様々なワインが作られます。
また、白ぶどう品種は品種名の表示があり、主に下記の4種類があってそれぞれ甘辛が決まっています。
・セルシアル・・・セコ
辛口タイプの白ぶどうです。甘辛の分類を表すときには「セコ」が辛口を意味します。
・ヴェルデーリョ・・・メイオ・セコ
中辛口タイプの白ぶどうです。甘辛の分類を表すときには「メイオ・セコ」が中辛口を意味します。
・ブアル(ボアル)・・・メイオ・ドセ
中甘口タイプの白ぶどうです。甘辛の分類を表すときには「メイオ・ドセ」が中甘口を意味します。
・マルヴァジア(マルムジー)・・・ドセ
甘口タイプの白ぶどうです。甘辛の分類を表すときには「ドセ」が甘口を意味します。
また上記以外のぶどう品種で、極めて生産量が少なくかつマディラワインの最高級品と言われる「テランテス」という白ぶどうがあります。
これはその希少性から、「幻のテランテス」とも呼ばれています。
●マディラ・ワインの種類について
マディラワインにはいくつかの分類方法がありますが、まず製法や原料による主な区分を下記にご紹介します。
・フラスケイラ(フィスケイラ)
単一収穫年で推奨ぶどう品種1種類のみを使い、最低でも樽熟成で20年以上かつ瓶熟成で2年以上させたワインです。
ラベルにぶどうの収穫年と品種の表記があります。
・コリエイタ
単一収穫年のぶどうを使う点ではフラスケイラ同様ですが、こちらはぶどう品種の指定はありません。
また、5年以上の樽熟成が義務づけられていますが、瓶熟成は不要です。ラベルの表示は収穫年のみです。
・リザーブ
複数収穫年のぶどうを混醸させたもので、熟成年数によって呼び名が変ります。
・エクストラリザーブ・・・熟成期間15年
・スペシャル(オールド)リザーブ・・・熟成期間10年
・リザーブ・・・熟成期間5年
こちらは、マディラ島伝統の指定ぶどう品種を85%以上使用した場合のみ、ぶどう品種がラベルに表示されます。
収穫年の表示はありません。
・ファイネスト
3年熟成されたもので、ラベルに熟成年数やぶどう品種の表記はありません。
料理酒としてマディラワインが使用される場合、多くはこのクラスのワインが使われます。
・レインウォーター
原料は白ぶどう品種の1つであるヴェルデーリョを使用し、3年以上熟成させたものです。
輸送中に激しく降った雨が樽に染み込んだ際、偶然酒質が向上したことからこう呼ばれるようになったと言われています。
ほとんどがポルトガル国内で消費され、日本に輸入されることはほとんどありません。
・ピコ・ワイン(ラジド)ポルトガル
ポルトガルの首都リスボンから約1500キロ西、大西洋上に浮かぶアソーレス諸島の一つ、ピコ島にはポルトガル最高峰(標高2351メートル)の「ピコ」が聳えています。
この島では500年も前からワインが作られていて、夏の陽射しの強さと、溶岩性で水はけの良い土壌であることから、糖度の高いぶどうが栽培されてきました。
しかしながら、あまりにも強い潮風がぶどうの木に吹きつけてくるため、これを防ぐために「クラウ」と呼ばれる石垣を島中に作りました。
この独特の景観とぶどう造りの文化が認められて、2004年には世界遺産に登録されました。
この「ピコ・ワイン」の中でも、最も有名な酒精強化ワインが「ラジド」です。「ラジド」の生産にあたっては、ぶどうの剪定から収穫まで全て手作業で行われ、ぶどうの搾汁も昔ながらの伝統的な足踏みの手法がとられています。
こうして得られた果汁は木樽で発酵され、発酵の終了直前にグレープスピリッツを添加され発酵を止められます。
その後にアメリカンオークの樽で3年間熟成されて出来上がった酒精強化ワインが「ラジド」です。
このようにして造られる「ラジド」ですが、ローマ皇帝にも愛されたと言われています。
・マルサラ・ワインイタリア
長靴型をしたイタリア半島のちょうどつま先部分のその先、地中海にぽっかりと浮かぶのがシチリア島ですが、ここで作られるフォーティファイドワインがマルサラワインです。
マルサラはこのシチリア島の西側に位置し、島内でも最もワイン生産の盛んな地域になります。
他のフォーティファイドワイン同様、アルコール発酵後にブランデーや白ワインなどを添加した後にオーク樽で熟成を行うことで、強い木の香りやカラメルのブーケなど、豊かなアロマが感じられるワインになると言われています。
多くのぶどう品種が用いられますが、基本的には地元品種のみを使用します。
●マルサラ・ワインの色合いについて
その色合いによって3つに分類され、主として白色系ぶどう品種から作られる「オーロ(黄金色)」「アンブラ(琥珀色)」、主として黒色系ぶどう品種から作られる「ルビーノ(ルビー色)」に分けられます。
●マルサラ・ワインの甘辛について
また甘辛の味わいも3つに分類され、「セッコ(辛口)」「セミ・セッコ(中辛口)」「ドルチェ(甘口)」となります。
●マルサラ・ワインの熟成年数による分類について
更に熟成の年数によって、下記のように分類されます。
・フィーネ
熟成期間1年以上
・スペリオーレ
熟成期間2年以上
・スペリオーレ・レゼルヴァ
熟成期間4年以上
・ヴェルジーネ(ヴェルジオ)
熟成期間5年以上
・ヴェルジーネ・ストラヴェッキオ(レゼルヴァ)
熟成期間10年以上
・マラガ・ワインスペイン
スペイン南部のアンダルシア地方の地中海沿岸部(「太陽海岸(コスタ・デル・ソル)」と呼ばれる地域です)の中心都市・マラガで作られるフォーティファイドワインです。
原料となるぶどう品種は白ぶどうで、主としてペドロ・ヒメネスとモスカテル(マスカット種)が使用されます。
同じスペインで生産されるフォーティファイドワイン、シェリーが発酵後にアルコール添加されるのに対し、マラガワインは発酵途中にブランデーを加えます。
これにより糖度が高くなり、総じて甘口のワインが出来上がると言われています。
・ヴァン・デュ・ナチュレル(V.D.N.)フランス
フランスのラングドッグやルーション、コート・デュ・ローヌの南部の地方で作られる酒精強化ワインです。
「天然甘口ワイン」とも言われます。
使われる主なぶどう品種は、マカベオ・グルナッシュ・マルヴォワジー・ミュスカ種などです。
ワインの発酵期間中にアルコールを添加し発酵をストップさせるので、果汁に含まれる糖分が残り、ぶどうの天然の甘みを活かしたワインに仕上がると言われています。
・ヴァン・ド・リクール(V.D.L.)フランス
ブランデーの産地として有名な、コニャック地方やアルマニャック地方などで作られる酒精強化ワインです。
上述のヴァン・デュ・ナチュレルとの違いはその製造方法にあります。
ヴァン・デュ・ナチュレルがワイン発酵中にアルコールを添加するのに対し、ヴァン・ド・リクールは発酵していないぶどう果汁にコニャックやマールなどの蒸留酒を加えて樽熟成させます。
なんと言いますか、蒸留酒をワインで割っただけのカクテルと言えなくもないような・・・
味わいは甘口で、食後酒などに向くと言われます。
コニャック地方の「ピノ・デ・シャラント」、アルマニャック地方の「フロック・ド・ガスコーニュ」などが有名です。
ちなみに、ぶどう果汁にアルコールを加えて、樽で数ヶ月間熟成させた上で出荷される甘口ワインの総称を「ラタフィア」と呼び表すことがあります。
もともとはぶどう原料だけに限らず、アルコールを添加した果物の果汁全般のことを「ラタフィア」と呼んでいました。
「ラタフィア」は生産者の自家消費用のワインとして飲まれることがほとんどで、市場に出回ることがあまりない希少な酒精強化ワインです。
「ラタフィア」はシャンパーニュとブルゴーニュのものが有名ですが、日本に輸入されることはほとんどありません。
しかしながら地元フランスではカフェやビストロで普通に見かけることが多く、旅行などでこの近くに行かれる機会がある方は、ぜひ一度試してみてください!
※スペインの自治州「カタルーニャ州」で、昔から飲まれている伝統的なお酒のことを「カタロニア・ラタフィア」と呼びます。
これはこの地方で造られているリキュールや酒精強化ワインのことを指しますが、レシピは地域や家庭ごとに異なっていて、決まったものはありません。
「ラタフィア」という呼び名ですが、この地方に伝わる物語からきていて、上記でご紹介したフランスのお酒「ラタフィア」と同じ語源であるかどうかは定かではありません。
4.フレーバード(アロマタイズド)ワイン(香味付けワイン)
ワインをベースにして、各種のハーブやスパイスなどの蒸留液や侵出液、果汁などを加えて、人工的に香りを付けたワインです。
フレーバードワインは、あまり日本では耳にすることはありませんが、下記に代表的なものを挙げます。
・ヴェルモット
ヴェルモットは、白ワインをベースに、ニガヨモギなどの香草類やスパイス類を配合し、これにスピリッツを加えて作られるフレーバードワインです。
大きくは甘口の「スイートベルモット」、辛口の「ドライ・ベルモット」に分けられます。
カクテル「マティーニ」の材料として使われることでも有名ですね。
・サングリア
赤ワインにリンゴやバナナ、オレンジなどの果実類を漬け込み、これにシロップや砂糖などの甘味料や、風味付けのブランデー、スパイス等を加えて作られるのがサングリアです。
もともとスペインやポルトガル等で盛んに飲まれた国民的飲料でしたが、近年では日本でも知名度があがってきて、居酒屋などでもよく見かけるようになりました。
・グリューヴァイン
赤ワインに砂糖やシロップ等の甘味料を加えて、さらにオレンジピールやシナモン等の香辛料を加えて作られるフレーバードワインです(フランス等では白ワインベースで作られる場合もあります)。
ドイツやフランスなどの寒冷な地方で暖めて飲むワイン(ホットワイン=ヴァン・ショー)として有名で、ヨーロッパではクリスマスシーズンに盛んに飲まれます。
・アペリティフワイン
ワインや蒸留酒に薬草や根のエキス、果実の香味などを加えて作られるフレーバードワインです。
「アペリティフ=食前酒」の名前のとおり食前に飲まれる事が多く、食欲増進・滋養強壮・健胃効果などの目的でも愛飲されます。