【日本酒 テイスティング】上善如水(じょうぜんみずのごとし)純米吟醸
【基本データ】90年代の日本酒ブームを牽引したライトタイプの日本酒
・容量 [ 720ml ]
・アルコール度数[ 14度以上15度未満 ]
・原産国 [ 日本・新潟県 ]
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1・●・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・飲み頃の温度
冷凍 常温 ホット、熱燗
1・・・●・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・カクテルベースとして
向いていない(難しい) 普通 向いている
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・●・・・・・・5
0 使ってはいけない(もったいない)
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0●・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
・カラー[ ほぼ完全な無色透明 ]
香り
赤果実系
・さくらんぼ
柑橘系
・シトラス
トロピカルフルーツ系
・ライチ
その他果実
・スモモ ・イチジク
スパイス系他
・香辛料 ・キュンメル(姫ウイキョウ)
ミネラル系他
・貝殻
シリアル(穀物類)系他
・米・もち米 ・うるち米
花・草木・自然系他
・樹脂 ・白樺(シラカバ) ・樹液
乳製品系
・ヨーグルト・乳酸 ・チーズ
ペトロール(石油)・アルコール臭系
・セメダイン・ボンド ・シンナー臭
コメント[老ね香がかった吟醸香。白酒?]
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・●2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ かなり弱いアタック。 ]
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・●・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ フィニッシュで微かに味噌のような風味。 ]
辛み
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 日本酒度の割には辛くはない。 ]
酸味
0・・・・・・・・・1・・・・●・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント[ それほど酸味は感じない。 ]
旨味
なし 普通 強い
0・・・・●・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント[ ごく僅かな米の旨み。 ]
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・●・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 凝縮感や熟成感はほとんど感じられない。 ]
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2●・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 淡麗辛口の代表格のような日本酒だが、一般的。 ]
味わいから感じるフレーバー
・ミネラリィ ・フルーティ ・シリアル様
飲み口(風味・酒質)
・クリア ・クリーン ・すっきり ・シンプル ・スムーズ ・ピュア
・透明感 ・淡麗 ・さっぱりとした ・クセのない ・さらりとした
・優しい ・柔らかな ・滑らかな ・ソフト ・穏やかな ・軽快な
・軽やかな ・控えめな
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・・●・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 白酒(パイチュウ)のような吟醸香がやや鼻につく。 ]
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・●・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 日本酒としては最もライトボディの部類。 ]
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・●・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント[ 短い。米の旨みだけが微かに残る。 ]
総評・コメント
今回ご紹介するのは「上善如水(じょうぜんみずのごとし)純米吟醸」です。
「上善如水」を生み出している酒蔵は「白瀧(しらたき)酒造」で、豪雪地帯で知られる新潟県の魚沼地方にあります。
昔から「越後湯沢」という呼び名でも有名なこの地域は、川端康成の小説「雪国」の冒頭の文章、「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」の舞台にもなりました。
「白瀧酒造」の創業は1855年(安政2年)、創業者の「湊屋藤助」が、江戸と越後を結ぶ三国街道の要衝の地である湯沢で、旅人や馬方・行商人相手にお酒を提供したのがその始まりです。
ペリーによる「日米和親条約」が締結されたのが1854年(嘉永7年)ですので、その翌年に蔵を構えたことになります。
「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」という耳慣れない言葉(現在ではこの日本酒のおかげですっかりメジャーな文言になりましたが)ですが、古代中国の思想家「老子」の言葉に由来しています。
その意味ですが「最善の生き方は水のようであり、他人と争わず、様々な形に変化する柔軟性を持ち、自然に流れるように生きること」を推奨しています。
これを典拠にしつつ、白瀧酒造では「水のように飲みやすい」お酒造りを目指して、この名称を採用したそうです。
実際、「名は体を表す」の言葉通り、「上善如水(じょうぜんみずのごとし)純米吟醸」は水のようにピュアですっきりとした日本酒に仕上っています。
その理由の1つとして、越後湯沢地方に降り積もる豪雪が挙げられます。
この地域にたっぷりと積もった雪はやがて雪解け水となり、さらに時間をかけて清冽な地下水となります。
これを軟水の仕込み水として酒造りに使用することで、あくまでも清らかな酒質の「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」が生まれるのです。
「白瀧酒造」では「日本酒の初心者が入門編として味わう一本」を目指しているそうですが、このコンセプトにぴたりと当てはまるのが「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」だと言えます。
この「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」ですが、販売されたのは1990年と比較的最近です。
それまで甘ったるく重たいイメージの日本酒が多かった当時、そうした日本酒とは一線を画すブランドだとして一躍脚光を浴びました。
以来約30年を経て、現在では日本酒が苦手なビギナーからも絶大な人気を博するようになり、スーパーやコンビニなどでも簡単に入手できるまでに市場は拡大しました。
個人的な話になりますが、販売当時の「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」を初めて飲んだ際には、正直衝撃を受けました。
この金額で本格的かつ軽快な純米吟醸酒を提供できるということは、当時としてはかなり画期的な出来事でした。(更に上級ラインナップの純米大吟醸「霊泉汲不盡(れいせんくめどもつきず)」も美味しい日本酒でした。)
その後味わいを少しずつ変えながら現代の消費者に合うようにアレンジを重ね、現在の「上善如水(じょうぜんみずのごとし)」は2021年にリニューアルされた最新版バージョンです。
かつて私自身が飲んだ30年前のものと比較すると、2021年バージョンでは更に軽く飲みやすい味わいになっています。
一方、かつての「上善如水」にあった「上質な吟醸香」「穏やかなコク」といった酒質は影を潜め、かわりに飲みやすさと米の旨みのような味わいがフィーチャーされています。
吟醸香も確かに感じられますが、どちらかというと中国の白酒(パイチュウ)のような香りで、少し人工的でくどいニュアンスがあります。
正に「水を飲んでいるような日本酒」ではありますが、近年流行っている濃厚な旨みを日本酒に求める向きには物足りない一本かもしれません。
逆にこのクセの無さを逆手に取るならば、日本酒カクテルのベース等に使うには向いているとも言えます。
いずれにしても日本酒の新時代を切り開いたブランドとして評価されるべき存在で、日本酒ビギナーにも気軽に飲んで貰いたい一本です!