【日本酒 テイスティング】ロック酒の上善如水 純米
【基本データ】ワインのような風味がユニーク、異色の上善如水
・容量 ［ 720ml ］
・アルコール度数［ 10度以上11度未満 ］
・原産国 ［ 日本・新潟県 ］
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1・・・・●・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・飲み頃の温度
冷凍 常温 ホット、熱燗
1・・●・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
・カクテルベースとして
向いていない 普通 向いている
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・●・・・・4・・・・・・・・・5
0 使ってはいけない（もったいない）
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0・・・・●・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
・カラー［ 微かにうっすらと緑がかった透明。 ］
香り
赤果実系
・ザクロ ・リンゴ
その他果実
・アプリコット（杏） ・イチジク
コメント［熟れたフルーツのような香り］
スパイス系他
・香草類（ハーブ） ・漢方薬 ・朝鮮人参 ・イソジン
シリアル（穀物類）系他
・米・もち米 ・うるち米 ・しょうゆ ・味噌
花・草木・自然系他
・腐葉土 ・キノコ類 ・落ち葉 ・樹脂 ・鰹節・出汁
樽香・熟成由来の香り
・シェリー樽香 ・杉樽香 ・レーズン
乳製品系
・ヨーグルト・乳酸 ・チーズ
ペトロール（石油）・アルコール臭系
・革製品 ・セメダイン・ボンド
コメント［シェリー酒や日本酒の古酒のような熟成を思わせる香り］
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ アタックは中庸、アルコール度数10度並 ］
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・●・・・・・・5
コメント［ 極めて甘い梅酒を飲んでいるような甘さ。 ］
辛み
弱い 普通 強い
1●・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ほとんど感じ取れないぐらいの微かな辛み。 ］
酸味
弱い 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4
コメント［ しっかりとした酸味が乗っている。 ］
旨味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・●・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 米麹や原材料の米の旨み ］
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・●・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 実際には熟成はしていないと思われるが、古酒のような熟成感。 ］
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・・●・・・・・・5
コメント［ 日本酒度マイナス70どいう極甘口の珍しさ。 ］
味わいから感じるフレーバー
・ウッディ ・フルーティ ・シリアル様
飲み口（風味・酒質）
・すっきり ・爽快な ・爽やか ・さっぱりとした ・フレッシュ
・生き生きとした ・優しい ・柔らかな ・滑らかな ・まろやかな
・ソフト ・穏やかな ・軽快な ・メロー ・心地よい ・とろみのある
・ジューシーな ・とろけるような ・甘やかな ・独特の ・ユニークな ・個性的な
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 香りと味わいの一体感がもう一つ。 ］
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ スタンダード品よりもかなりしっかりしたミディアムボディ。 ］
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・●・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 甘酸っぱい後口が長く残る。 ］
総評・コメント
今回ご紹介するのは「ロック酒の上善如水 純米」です。以前ご紹介した「上善如水 純米吟醸」は「上善如水」の定番商品で、白瀧酒造のフラッグシップ的な存在です。
しかしながら「上善如水」はバリエーションも豊富で、定番商品にあぐらをかくことなく、次々と意欲的な商品をリリースしています。
その１つが「ロック酒の上善如水 純米」です。
まず目を引くのは、ペンギンがグラスを持っているイラストの斬新なボトルデザインで、日本酒らしからぬポップな意匠ではありますが、いかにも涼しげな気分にさせてくれます。
実際、この日本酒のコンセプトは「暑い夏の日にグラスにたっぷり氷を入れて、ごくごくと飲み進める日本酒」となっています。
つまり「ロックで楽しむ日本酒」という訳ですが、日本酒に氷を入れて飲むスタイルの提案もこれまでにあまりなかった試みです。
更に通常、ロック等でお酒を飲む場合、氷が溶けることで液体が希釈されるのでベースのお酒のアルコール度数は予め高めに設定するのが一般的ですが、「ロック酒の上善 如水」の場合、敢えて「１０度以上１１度未満」と低めになっています。
極めつきは「日本酒度」で、この「ロック酒の上善如水」のそれはなんと「マイナス７０」！になっています。
「日本酒度」はプラスになるほど辛口、マイナスに振れるほど甘口となります（詳細については「日本酒」のページをご参照ください）。
一般的に販売されている甘口の日本酒はせいぜいマイナス１０程度までで、これと比較すると「ロック酒の上善如水」は超々甘口となり、白瀧酒造の歴史の中でも屈指の極甘口だそうです。
上記のようにかなり「攻めた」酒造りとなっているため、その味わいに関しては賛否がはっきりと分かれているようです。
否定的な意見の代表はやはり「これは日本酒ではない」というものです。
確かに飲み口はワインにも似ていて、熟れたフルーツのような甘酸っぱい酸味は、ランビックビールにも相通ずるものを感じます。
一方で賛成派は、正にこの点を肯定的に捉えていて、「夏にロックで飲む日本酒として若い女性にも好まれそうだ」とコメントしています。
つまり、従来の日本酒という概念に囚われない客層ほど、この「ロック酒の上善如水」を好意的に受け入れているとも言えそうです。
実際、アジア最大級の食の展示会「ＦＯＯＤＥＸ」の「美食女子グランプリ２０１８ドリンク部門」において、「ロック酒の上善如水」がグランプリを獲得しています。
ドリンク部門には日本酒だけでなく、ワインやビール・ジュース・お茶などもエントリしているため、女性が本当に飲みたい商品を忖度なしに選んだ結果のグランプリ受賞だと考えると、これは快挙だと言えます。
この「ロック酒の上善如水純米」のテイスティングですが、私自身はこの商品を好意的に捉えました。
香りを嗅いだ時点では、やや老ねたような麹由来の香りが鼻についたのですが、飲んでみるとマイナス７０の甘口とは思えないほどフルーティでさっぱりした飲み口に驚かされます。
確かに氷を入れてロックで飲めばごくごくと飲み進め、正に夏向きの爽快な飲み物です。
ワインのような甘酸っぱい酸味も、日本酒に慣れていない若い女性などからは支持が得られそうです。
日本酒という固定観念を払拭すれば、新しいジャンルのお酒として人気が出るかもしれません。
オススメの飲み方ですが、キンキンに冷やした状態で飲むほうがよりこのお酒のポテンシャルを感じ取ることが出来ます。
あるいはボトル毎冷凍庫で冷やして、シャーベットのようになった状態で飲む（食べる？）のも面白いかと思います。
いずれにしても、白瀧酒造の新しい日本酒造りへの貪欲なチャレンジが生み出した成果であり、これからも白瀧酒造の様々な取り組みが注目されます。
