【ウイスキー テイスティング】スプリングバンク10年 旧ボトル
【基本データ】世界的にも絶大な人気を誇る”モルトの香水”の旧ボトル
・酒名 ［ スプリングバンク10年 旧ボトル ］
・容量 ［ 700ml ］
・アルコール度数［ 46% ］
・原産国 ［ スコットランド・キャンベルタウン地方 ］
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1・・・2・・・3・・●4・・・5
・カクテルベースとして
難しい 普通 向いている
1・・・2・・・3・・・4・・・5
0● 使ってはいけない（もったいない）
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0・・・・・・・・・1・・・●・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
・カラー［ かなり淡いゴールド色。麦わら色 ］
香り
赤果実系
・ラズベリー ・さくらんぼ ・ザクロ
黒果実系
・ブルーベリー ・プラム
柑橘系
・レモン ・シトラス ・青リンゴ
その他果実
・洋ナシ
スパイス系他
・白・黒こしょう ・シナモン
・ジュニパーベリー（松ヤニ） ・イソジン
シリアル（穀物類）系他
・大麦
花、草木、自然系他
・ハイビスカス ・ミント ・枯れ草 ・藁（わら） ・海草
・海藻・潮の匂い ・ピート（泥炭） ・スモーク臭 ・木皮・木の根
樽香、熟成由来の香り
・オーク樽香 ・シェリー樽香 ・バーボン樽香 ・ナッツ・クルミ ・バニラ
・燻香・焦げ臭 ・ヨード香 ・ナツメグ ・炭 ・ビスケット
乳製品系
・バター
ペトロール（石油）アルコール臭系
・革製品 ・硫黄臭
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・●・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ しっかりとしたアタック。度数46％ ］
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・●・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ バニラ様の甘み ］
辛み
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・●・・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ピリッとした口当たり、スパイシー ］
塩味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・●・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 心地よい塩辛さがある ］
苦味・渋味
なし 普通 強い
0・・・・・・・・・1・・・・●・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ 塩味と表裏一体の苦味 ］
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・●・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 10年の表示年数以上のパワフルな熟成感 ］
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・●4・・・・・・・・・5
コメント［ ”ブリニーさ”を持つ唯一無二の個性的なモルト ］
味わいから感じるフレーバー
・スパイシー ・ヨード様 ・ウッディ ・ピーティ ・フルーティ
飲み口（風味・酒質）
・刺激的な ・香（かぐわ）しい ・じんわり ・心地よい
・馥郁（ふくいく）とした ・エレガント ・暖かみのある ・気品のある ・典雅な
・豊かな ・奥深い ・豊潤な ・円熟した ・味わい深い ・確かな ・絶妙な
・しっかりした ・華やかな ・厚みのある ・飲み応えのある ・深みのある
・コクのある ・骨太な ・パワフルな ・独特の ・凝縮感のある ・特別な ・個性的な
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・●・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 味わいのバランス（甘、辛、塩、苦）は秀逸だが、香りとの一体感がもう一つ ］
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4・●・・・・・・・5
コメント［ かなり骨太。フルボディ寄り ］
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・●・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 潮の風味（塩味）がいつまでも残り続ける ］
総評・コメント
今回ご紹介するのはキャンベルタウンの雄、「スプリングバンク１０年（旧ボトル）」です。
蒸溜所の設立は１８２８年、キンタイア半島の先端にあるキャンベルタウンの町に、創業者レイド家により造られました。
しかしながらすぐにレイチェル家により買収され、以降現在に至るまでレイチェル家が蒸留所を経営しています。
キャンベルタウン地方は元々ウィスキー造りの一大産地で、最盛期は３０を超える蒸溜所があったそうです。
それが世界大戦や恐慌、アメリカの禁酒法などの世の中の影響を受けて蒸留所は次々と閉鎖され、１９９０年代には「スプリングバンク」と「グレンスコシア」の２つの蒸溜所のみとなってしまいました。
２０００年代に入り「ミッチェルズ・グレンガイル蒸溜所（商品名はキルケラン）」が復活し、キャンベルタウンの蒸溜所は今では３つとなっています。
「スプリングバンク蒸溜所」のユニークな製法は、今でもフロアモルティングを行なっている点などいくつもありますが、最大の特徴は「蒸留の回数」にあります。
一般的に「２．５回蒸留」と言われるその製法です。
先述したように、スコットランドのほとんどの蒸留所では「２回蒸留」が一般的です。
「スプリングバンク蒸溜所」の場合、１回目の蒸留で作られた「ウォッシュスチル」と２回目の蒸留で作られた「スピリットスチル（ローワインスチルとも言います）」を掛け合わせて、３回目の蒸留を行なっています。
具体的には１回目の原液を２０％、２回目の原液を８０％混ぜ合せて蒸留を行なっていて、これにより出来上がった原液を「セカンドローワインスチル」と呼びます。
この手法を指して「２．５回蒸留」と呼んでいて、これにより出来上がったウィスキーが「スプリングバンク」です。
ちなみに、２回蒸留により出来上がったモルトは「ロングロー」、３回蒸留により出来上がったモルトは「ヘーゼルバーン」とうブランドで販売されていて、それぞれ全く異なる味わいとなっています。
その独特の製法や蒸溜所の位置する港町の土地柄からか、「スプリングバンク」は全モルトの中でも最も「塩辛い（Ｂｒｉｎｙ）」と表現されます。
その華やかな香りから「モルトの香水」と称されることも多く、今でも熱狂的なファンが多いモルトです。
その一方で、地元スコットランドや世界的な人気の高さから常に品薄状態が続いていて、今ではネットオークションなどで原価の２倍近い１７，０００円前後の高値で取り引きされているような状況です。
「スプリングバンク１０年」の味わいについてですが、確かにブリニーな風味はしっかりと感じられ、甘み・辛み・苦味・塩味のバランスは秀逸です。
一方で香りの面では、かつて「モルトの香水」と呼ばれたような芳醇で類い稀な華やかさや豊かさ、甘さといったアロマは弱くなっているように感じます。
個人的な経験になりますが、私は１９９０年代にイギリス駐在をしていた知人からスーベニールとしていただいた、当時の「スプリングバンク３０年」を飲む機会に恵まれました。
もちろんとんでもなく高価なシロモノで、後にも先にもこれを飲むことは無かったのですが、「モルトの香水」の神髄に触れて衝撃を受けたことを覚えています。
あれを飲んでしまうとこの「スプリングバンク１０年」はいかにも心細く、僅かに味わいの面でそのＤＮＡを残していると感じるだけです（もちろんエイジの違いは当然あるのですが）。
とはいえ現在でも「シングルモルトの傑作」としての立ち位置が揺るぐことはなく、飲む機会があるならば是非飲んでみることをオススメします！
