【ウイスキー テイスティング】カナディアンクラブ
【基本データ】”カナディアンウィスキーの先駆者”の揺るがない存在感
・酒名 ［ カナディアンクラブ ］
・容量 ［ 700ml ］
・アルコール度数［ 40% ］
・原産国 ［ カナダ・オンタリオ州 ］
・入手難度
容易 やや困難 極めて困難
1●・・2・・・3・・・4・・・5
・カクテルベースとして
難しい 普通 向いている
1・・・2・・・3・・・4・●・5
0 使ってはいけない（もったいない）
色合い
濃淡
無色透明 琥珀色 近黒色
0・・・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・●・・・・・3・・・・・・・・・4
・カラー［ やや茶色みがかっているが、透明感のあるゴールド ］
香り
赤果実系
・イチゴ ・ラズベリー ・リンゴ
黒果実系
・黒色ぶどう
柑橘系
・レモン
その他果実
・スイカ
スパイス系他
・白・黒こしょう ・香辛料
シリアル（穀物類）系他
・大麦 ・ライ麦 ・とうもろこし
花、草木、自然系他
・カエデ（メイプル） ・ハチミツ ・青草 ・土 ・ココナッツ ・木皮・木の根
樽香、熟成由来の香り
・オーク樽香 ・バニラ
乳製品系
・バター
ペトロール（石油）アルコール臭系
・セメダイン・ボンド ・ダンボール
アタック・第一印象
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・●・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 思った以上にアルコール感あり。ウォッカのよう ］
味わい・テイスティング
甘味
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・●・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ バニラ、キャラメル、シロップのような甘み ］
辛み
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・●・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ピリッとしたスパイシーさも感じる ］
苦味・渋味
なし 普通 強い
0・●・・・・・・・1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・・・・・・・・4
コメント［ ほぼ無いに等しいが、最後にかろうじて樽の苦味を拾える程度 ］
凝縮感・熟成感
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・●・・・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 熟成感はやや弱い ］
個性
弱い 普通 強い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3●・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ ウィスキーとしての個性は凡庸だが、カナディアンの特性を捉えている ］
味わいから感じるフレーバー
・スパイシー ・ウッディ ・フルーティ
飲み口（風味・酒質）
・クリア ・クリーン ・すっきり ・スムーズ ・デリケート ・爽やか
・さっぱりとした ・フレッシュ ・クセのない ・ピリッとした ・マイルド
・優しい ・しなやかな ・柔らかな ・滑らかな ・まろやかな ・ソフト
・穏やかな ・軽快な ・軽やかな ・温かな ・メロー ・心地よい
・口当たりの良い ・甘やかな ・暖かみのある ・ユニークな
バランス
平凡 一般的 良好
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・●3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ 味わいとしてのバランスはまずまずだが、香りがほぼ無い ］
ボディ・骨格
ライト ミディアム フル・ヘビー
1・・・・・・・・・2・・・・・・●・・3・・・・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ アルコール感と相まって、意外とミディアムボディ ］
フィニッシュ
短い 普通 長い
1・・・・・・・・・2・・・・・・・・・3・・●・・・・・・4・・・・・・・・・5
コメント［ すっと消えたように感じた後、甘みとアルコールが残る ］
総評・コメント
今回ご紹介するのはカナディアンウィスキー、「CC」の愛称でも有名な「カナディアンクラブ」です。
カナディアンウィスキーは「世界５大ウィスキー」の中でも最も軽く、飲みやすいウィスキーだと言われていて、この特長からウィスキーカクテルのベースにも数多く使用されています。
日本で最も売れているカナディアンウィスキーとしても知られていて、約９割のシェアを誇っています。
「カナディアンクラブ」の創業は１８５８年、アメリカ人の「ハイラム・ウォーカー」氏によって設立されました。
当時アメリカでは禁酒運動が激化していた頃であり、ウォーカー氏はアメリカでのウィスキー造りに不安を感じていたそうです。
そこで隣国のカナダのオンタリオ州ウィンザーに蒸留所を建てました。
この創業者の名前をとって、蒸留所は「ハイラム・ウォーカー蒸留所」と呼ばれています。
実際に禁酒法がアメリカで制定されたのは１９２０年になるので、６０年以上も前に時代を先読みしていたことになります。
卓越した先見性ですね。
１８５８年には「カナディアンクラブ」の前身となる「クラブ」というウィスキーが販売されます。
発売当時の北米ではウィスキーは樽の量り売りが常識でしたが、「クラブ」は敢えてこれをせず、瓶売りにこだわりました。
これは混ぜ物ができないよう、品質を担保するための工夫でしたが、この手法が一気に他の蒸留所にも波及します。
同時に、「クラブ」の軽快でソフトな飲み口のウィスキーは全米でも人気を呼び、これに脅威を感じたアメリカの蒸留所の訴えにより、「アメリカン」と「カナディアン」のウィスキーを差別化する狙いで「カナディアンクラブ」に名称変更されました。
しかしながら「カナディアンクラブ」の快進撃は止まらず、その後のカナディアンウィスキーの特徴や原型を形作る存在となりました。
「カナディアンウィスキーのパイオニア（先駆者）」と呼ばれる理由がここにあります。
その後も「ハイラム・ウォーカー社」は発展を続けますが、１９８０年代にイギリスの大手酒類メーカーの「アライド社」と合併、２００５年には「ペルノリカール社」が「アライド社」を買収します。
この際、「ペルノリカール社」は「ハイラム・ウォーカー社」を売却、ジムビームで有名な「ビーム社」に譲渡されました。
更にその後、２０１４年にサントリーホールディングス社が「ビーム社」を買収、かくして現在「ハイラム・ウォーカー蒸留所」はサントリーの子会社「ビームサントリー」の傘下となっています。
さて、「カナディアンクラブ」の味わいについてですが、カナディアンウィスキーの伝統的な製法に則り、「カナディアンクラブ」でも「ベースウィスキー（コーンが主原料、連続式蒸留器で蒸留された原酒）」と「フレーバリングウィスキー（ライ麦・大麦・とうもろこし等を原料に、１回目は連続式蒸留器・２回目は単式蒸留機で蒸留した原酒）」をブレンドして作られます。
「カナディアンクラブ」では、おおよそ「ベースウィスキー」７に対し、「フレーバリングウィスキー」３の割合でブレンドされています。
更に「カナディアンクラブ」では「プレ・ブレンディング」という独特の製法をとっていて、通常熟成のピークを迎えた原酒同士をブレンドしますが、「カナディアンクラブ」では熟成前のスピリッツをブレンドしています。
これにより原酒同士がより馴染んで、まろやかな味わいになるそうです。
こうして産まれる「カナディアンクラブ」ですが、他のウィスキーと異なり香りはほとんどしません。
香りの面だけで言えばほぼニュートラルスピリッツで、ウォッカにも近いアロマです。
一方で、味わいの面ではバニラやシロップのような甘いテイストがかなりはっきりと感じられ、香りと味わいで表情が一変するウィスキーです。
「カナディアンクラブ」は本格的なウィスキーでありながら僅か１０００円という値段であり、このコストパフーマンスの良さは驚嘆に値します。
嗜好品である以上好みに個人差があるのは当然ですが、ライトな飲み口で飲みやすいので、ウィスキー初心者が最初にトライアルとして選ぶウィスキーにはもってこいです。
とは言っても度数はしっかり４０％あります。
まずはハイボールやロックなどでウィスキーとの相性を確かめて、しかる後にウィスキーの深遠な世界に足を踏み入れてみてはいかがでしょうか。
